老舗企業も、最初は1年坊主

 古くに都があったことから、京都には長寿企業と呼ばれる、
 創業100年を超える会社が約1300社もあるそうです。
 21日、そのうち430社が集まり、「京都老舗の会」が設立されました。

 会では、社訓、家訓を紹介するホームページを作成したり、
 大学と連携して老舗企業の経営手法を研究、発信をする予定ということです。
 是非とも、若い企業の経営に役立つような、
 老舗ならではの「長寿」の秘訣を教えてもらいたいものです。
 
 お隣、大阪を創業地とする会社が、創業100年を迎えました。
 その会社は、ディーゼンエンジンをはじめとする発動機、
 農業・建設機器、船舶を扱うヤンマーです。
 関西地方の方は、ヤン坊マー坊という名のマスコットが紹介する天気予報のCMを、
 長い間流れているので、良くご存知のことでしょう。

 ヤンマーは、創業者である山岡孫吉氏が、幼い頃から丁稚奉公に出る苦労をし、
 ガス会社の工事作業員に雇われたことがきっかけで、この道に進むようになります。
 時代は、大阪市内にガス管の敷設が進み、工場などはそれまでの蒸気機関から、
 ガスへ切り替えが進む最中でした。

 蒸気機関は、広い据付場所が必要なうえに、操作も難しいものでした。
 便利さから、ガスの普及が進むにつれて、小さな馬力の動力を使っていた町工場や、
 豆腐屋までガスに乗り換えるようになりました。

 たまたま、工事に出かけた会社の倉庫で、売れ残りのガス用ゴム管の山を目にします。
 理由を聞いてみると、海外から輸入されているゴム管が、
 輸送途中に劣化してしまい、ガス会社に納品を断られたというのです。

 そこで、売れ残りのゴム管を売りさばく手伝いをはじめたところ、
 在庫はきれいに処分できたのです。
 山岡氏は、その手数料として手にした資金をもとに、
 ゴム管の販売とガスレンジの修理業として商売を始めます。

 その後、動力用エンジンの販売などを行っていましたが、
 商品を右から左へ流すだけの商売には、嫌気がさしてきました。
 お客に誇れるような製品を作り、胸を張って値段をつけられるような、
 仕事がしたいと考え、発動機の製作を手がけるようになります。

 農業用の、もみすり機、動力精米機、水揚げポンプなどを製作して販売を始めます。
 ある時、ドイツで初めてディーゼルエンジンを目にし、
 あまりに優れた性能に、その虜になってしまいます。

 その後は、とりつかれた様にエンジンの研究に没頭するようになります。
 2年がかりで、念願のディーゼルエンジンを完成させ、
 現在の礎を築くことになるのです。

 ヤンマーは、何処にも引けをとらない製品を作るという精神から、
 84年から南極にある昭和基地の発電機用として、
 ディーゼルエンジンを送り出しています。
 極寒のうえ、絶対に止めることは許されない使命を受ける姿勢は、
 その自信の表れでしょう。
 
 先に行われた「京都老舗の会」の初めての会合では、
 参加の企業が長寿企業の秘訣、心がけを発表しました。
 ある料亭の代表は、「目新しいことに片足を出すが、
 両足を出して飛び越えることはしない。地道に改革していく」述べました。
 老舗といえども改革を忘れないこと、度を越した冒険は慎むこと、
 心に刻んでおかなければなりませんね。

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老舗企業も、最初は1年坊主 への1件のコメント

  1. 竹田茂生ー関西国際大学 より:

    興味深い内容でした。京都老舗会は、定期的に行われているのでしょうか。

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