単品商品!いかに拡張できるかがカギ

 単品商品であるがゆえの悩み。
 ここ数年、カルピスはお菓子やアイスなど、「飲むだけじゃない」
 「子供だけじゃない」と他メーカーとコラボした商品を、
 積極的に展開してきました。

 かつては、新しい柱を作るためカルピス以外の品揃えを増やし、
 売上の拡大を図ったこともありましたが、
 在庫が負担となり経営の足を引っ張った経験をもっています。

 07年に味の素傘下に入り、着実に回復の道のりを歩んできましたが、
 もうひとつ高い目標を目指そうと思ったか(?)、
 お互いの利害と一致したのか、このほど、飲料水メーカー
 アサヒグループ(HD)の傘下に入ることが報道されました。

 90年以上のロングセラーを続けている乳酸菌飲料の「カルピス」。
 長い間「一社一品主義」を守り続け、濃縮型に始まり、
 炭酸入りのカルピスソーダ、そのまま飲めるカルピスウォーター、
 さらに、フルーツ味と様々に形を変えて生き残ってきました。

 カルピスは、創業者の三島海雲が友人と共同で、
 中国で商社を行っていたときの経験から生まれた飲み物です。
 現在のモンゴルにあたる地域で、宿を借りて暮らしていた時のことです、
 毎日、発酵したクリームや酸乳を口にしていたところ、
 弱っていた胃の調子が良くなり、長旅で疲れた体まで回復してきたのです。

 やがて、中国から帰国した三島氏は、それまで口にしていた乳製品を、
 日本で製造することを思いつきます。
 知人、友人から出資を募り、乳酸発酵したサワークリームを
 「醍醐味」と名づけて販売します。

 しかし、原料の牛乳に対して、1割しか作れないため失敗に終わります。
 次に乳酸入りのキャラメルを考案し、有力者の力を借り会社を設立しますが、
 夏になると溶けてしまうことがわかり生産中止となります。
 紆余曲折の末、クリームを分離した脱脂粉乳を発酵させ、
 カルシウムと砂糖を加えたカルピスにたどり着いたのです。

 知名度は高いものの、元祖カルピスである濃縮型の売上は、
 販売が低迷して、苦戦が続いていました。
 理由の一つが、子供の頃にカルピス製品を飲んだことあるものの、
 大人になると卒業してしまうことでした。

 たどり着いたのが、カルピスの高いブランドイメージを保ちつつ、
 濃縮液を素材とするコラボ商品の開発でした。
 開発コストをかけることもなく、大人のファンを開拓する、
 派生商品の道には高い可能性が潜んでいます。

 これまでも、カルピスサワーなどアルコール飲料の分野にも、
 手を伸ばしてきていましたが、酒販ルートの壁は厚く、
 思うように品揃えしてもらえませんでした。
 今後、アサヒグループの力を借り、
 競合の牙城を切り崩せるか、実力の見せ所です。

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