掃除用品レンタルの大手であるダスキンは、
日本でフランチャイズ方式の事業を広めた会社の一つとして、
また、ミスタードーナツの外食事業を手がけ、
早くからファストフードビジネスに取り組んだ会社です。
まもなく、創業50年を迎えようとしていますが、
このところの業績に元気がありません。
同社は、訪問営業を強みとしますが、
マンションをはじめとして、最近はセキュリティが厳しく、
玄関口まで迎え入れてもらうことが難しくなりました。
また、ドーナツ事業も新商品を投入したものの、
従来の大きさからすると、割高感があったのか、
売上が伸び悩み苦戦することになります。
これまでが順調にやってこられただけに、
新しいことに挑戦する意気込みが足りないのかも知れません。
「喜びのタネまき」「祈りの経営」
広告のキャッチフレーズとしては最高での言葉です。
創業者 鈴木清一氏が若いときの経験、
信教により得た様々な体験から得た独自の経営についての発想は、
並みの経営者では足元にも及ばないものであります。
また、ダスキンのフランチャイズ加盟店を一店ずつ増やしていくことは、
布教に良く似たものを持っているといえるでしょう。
鈴木氏のこのような考えは、
決して「楽な人生」から出てきたものではありません。
結核を患い、闘病生活に焦燥した心の支えとするため一燈園に入園し
托鉢の精神に目覚めます。
その後、ワックス製造会社を設立して順調に事業を展開するのですが、
アメリカのメーカーとの提携に失敗し、無一文で放り出されてしまうのです。
しかし、元従業員や周囲の人の好意により、
化学雑巾のレンタル事業を行う「ダスキン」として再起したのです。
この過程で「道と経済の合一」という、
鈴木氏の経営に対する目標がつくられたといえます。
人に喜ばれ、世の中の役に立つことによって、
その代わりにお金がついてくる様になること。
現在、ハウス事業は提携先を増やすことによって、
引越し前後のハウスクリーニングの受注獲得に力を入れています。
また、シロアリ駆除や庭木の手入れまで、
これまでの事業から少し手を伸ばした領域に事業を拡大しています。
ドーナッツ事業は、新商品の不振をうけ定番商品に重点を置き、
粉や油の見直しも含めて品揃えを作り直しているそうです。
上手くいった事だけが、華々しく報道されますが、
表に出てこない失敗談は山のようにあるはずです。
自ら不振の原因を突き止めるのは、とても難しいことです。
売れない理由は、商品(サービス)そのものより、
仕組みの方に問題があることも多いものです。
「喜ばれ」「感謝される」仕組みが出来ていないと長続きは望めません。