先週末のニュースに、CoCo壱番屋がカレーチェーンの店舗数で、
ギネス世界一に認定されたという記事をみつけました。
さほど多いという印象がなかったので調べてみると、
牛丼チェーンでは、カレーのメニューを取り扱っているところもありますが、
カレー類だけの単一メニューを扱う店舗は少ないそうです。
同社は、国内で全都道府県に店舗を構え、
海外を含めて約1300店を展開しているそうです。
特徴的なのは、創業まもなくして始めた「のれん分け制度」が、
その店舗展開に貢献していることです。
多くの外食チェーンは、フランチャイズ制度を使って、
短期間に店舗数を増やす方法を選んでいます。
それに比べ、同社では希望者に2年以上の社員経験をさせ、
基準以上の成績を収めないと独立できない制度となっています。
誰でも真似が出来るはずのカレー専門店に、
屋台骨を揺るがすほどの強豪が登場しなかったことを、
創業者の宗次徳二氏は、ソフト(面)の質が影響していると語っています。
愛知県の小さな町で、カレーの専門店として創業したCoCo壱番屋、
真似るのは簡単と、大小様々な競争相手が現れましたが、
ついに肩を並べる相手は残れませんでした。
一度だけ、同社など一息で飛ばされそうな、
大手企業が参入してきた事がありました。
カレーやお米など、その気になればいつでも手に入れることができる材料です、
作り方も主婦のほうが上手なほどで、たいした技術は必要ありません。
メニューの構成や品揃え、価格設定、販促の仕方など、
大手ならばお手のものであるはずです。
更に、店舗の内外装についても、真似することはいとも簡単、
より良いデザインを考えることも出来なくはないのです。
お金さえかければ、表面的なことはそっくり真似することはできます、
どうしても競合が真似できないこと、それはソフトです。
宗次氏がカレー専門店を始める前に喫茶店を開いていた当時から、
長年にわたり培った「お客様第一主義」は一朝一夕には手に入りません。
辛い思い、苦い経験を経て体で学んだ、接客サービスのノウハウは、
メニュー以上にCoCo壱番屋らしさとなっているのです。
奇しくも、このニュースと重なり、地元で外食チェーンを展開する、
ある会社が倒産したという記事が載っています。
カレー専門店やパスタ店など、流行の業種を手がけていましたが、
20年前からは、持ち帰り寿司チェーンに力が入っていた様子でした。
しかし、ここ数年で本社兼工場の跡地にはマンションが建ち、
持ち帰り寿司のフランチャイズチェーンを売却したりと、
資金ショートを窺わせる状況が続いていました。
つくづく、ブームに乗り、流行の事業に手を出す怖さを感じます。
波に乗っている時はわからないものの、
波が去った後には競合と価格競争が待ち受けているのです。
値引き合戦に巻き込まれないためにも、
他社には真似のできない「ソフト」を築かなければいけません。