「売価」決定は慎重に…

 意外と知られていないことですが、私たちが目にする商品のほとんどは、
 販売価格に対して原料費の割合は意外と少ないものです。
 カップめんを例に取ると、約30%が原料費になります、
 そこに人件費、広告費などの経費が約15%、
 メーカーから小売までの利益、約30%を上乗せして売価になる…

 あれ?計算が合いませんね。
 実は、「拡販費」というものが織り込まれて、価格が決められています。
 仕入れの量やキャンペーンの内容に応じて、金額を割り引くためのもので、
 スーパーなどの小売店は、「拡販費」を元にして特売を行っているのです。

 この「拡販費」は、業界内で競争があるからこそ
 生まれてくるものなのですが、競争が無いプライベート・ブランドは、
 スーパーが一括買い上げするため「拡販費」が不要になることから、
 その分大幅なプライスダウンが出来るというわけです。

 即席めんのメーカーの中では後発でありながら、
 うどん・そばの即席めんを開発して、ラーメン中心のメーカーを追い向き、
 最近ではヒット商品「マルちゃん正麺」を生み出している東洋水産です。

 そんな東洋水産が現在の地位を築くには、長い道のりがありました。
 創業者である森 和夫氏が築地市場で魚の卸からはじめ、
 マグロを捌き冷凍して輸出する商売を手がけます。

 輸出には向いていない規格外のマグロの利用を図るため、
 魚肉ハム・ソーセージの生産を始めます。
 旧友の支援もあって地元ではトップシェアを取ることになりますが、
 全国的には商社の相手先ブランドとして、
 ハム・ソーセージを提供することになります。

 当時の即席めんブームに乗っかろうと、
 61年発売した第一弾の「マルト即席ラーメン味付」は
 失敗の憂き目に会ってしまいます。
 背水の陣、社運をかけ発売した「ハイラーメン」が見事ヒットして、
 即席めんメーカーとして出発することになります。

 その後70年に和風即席めんとして発売した
 「天ぷらそば」が大ヒットすることとなり。
 その5年後に麺をカップに入れた「天そば」を発売し、
 器をドンブリ状にしたカップに入れた
 「マルちゃんきつね」が誕生することになります。

 では、どうして「拡販費」を使ってまで、売価を維持するのでしょう。
 売価というものは、一度下げてしまうと、元には戻せにくいものなのです。
 合わせて、業界トップの立場となれば、
 価格のリーダーシップを取ることは、大きな意義があります。

 トップが決めた価格を上回る金額を、
 二番手以降の会社が自らの商品につけることはとても難しいのです。
 価格を安くしても注文を取りたい立場の会社が、
 自らを不利にするようなことは、普通では考えられないのです。
 そこで、二番手、三番手の会社が主導権を握れるのは、
 業界トップと違う商品を作り出せたときだけなのです。

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