新年度を迎えたこの時期、毎年目だって多くなるのが、
自分磨きや習い事を勧めるCMやチラシです。
習い事といっても幅広く、趣味や語学の上達ための教室通いや、
資格取得を目指して通信教育を申し込むなど多種多様になっています。
少し前までは、自分自身のスキルアップを目指すための、
教室や講座の広告が中心でしたが、
最近はメタボ対策の影響もあるのか、
健康管理や体力づくりを目的としたスポーツ施設の会員募集を目にします。
エアロビクスは80年代に入り、アメリカのブームの影響で日本に入ってきたものです。
レオタード姿にレッグウォーマーという出で立ちは欠かせないものとなり、
派生したファッションアイテムが世の中にいくつも登場しました。
企業の業績はうなぎのぼりで、福利厚生に力を入れていたことも奏功し、
異業種からの参入や、子会社として施設運営されることとなります。
各地でフィットネスクラブがオープンし、
世の中はフィットネスブームとなっていったのです。
しかし、景気の後退とともにフィットネスクラブも淘汰を向かえ、
大手が弱小を吸収するという再編を迎えることとなります。
そして現在、主要な顧客となっているのは、ブームの当時仕事や子育てに忙しくて、
クラブ通いに憧れを抱いていたシニア世代です。
企業の子会社としてフィットネス事業を行う会社のひとつ、
ルネサンスは、現在の会長 斉藤敏一氏が企業内ベンチャーとして始めた会社です。
大日本インキ化学工業(現:DIC)に技術者として入社し、
スイスの大学に留学することになりますが、
この時の生活スタイルが、創業に結びつきます。
帰国後は、仕事中心の生活でなくテニスや落語など、
サークル活動にも熱中するようになります。
その様な生活スタイルを模索している途中で、
自身の人間性の回復に目を向ける事の大切さを感じます。
そこで、余暇活動の事業化と称し、ウレタン樹脂の販売促進の目的という名目をつけ、
79年にインドア・テニススクールを開講したのが始まりです。
業界の中で歴史が古いクラブでは、テニススクールを始まりとするものと、
子供向けスイミングスクールを行っていたものに分かれます。
スイミングスクールを行っていた会社が、
次々とジムやスタジオを増設してフィットネスクラブに変化していくのを見て、
ルネサンスなどテニススクールを主体としていた会社は、
スイミング・プールとジム、スタジオを増設してフィットネスクラブとなったのです。
フィットネスクラブが登場した頃は、企業が福利厚生を充実させるため、
もしくはそれを狙って作られたこともあり、
会員は法人契約であることが多かったのです。
しかし、法人契約は景気の動向に左右されやすく、
契約の更新がされなかったときには、存続の危機に瀕するほど、
大打撃を被ることも少なくありませんでした。
一方、個人については、法人の場合と比べ物にならないほど、
契約するまでに手間と時間がかかります。
加えて、サービスの内容にも気を配っていなければなりませんが、
景気等、本来以外の要因によって退会されることは少ないのです。
このように、新しく事業を始めるときには、
法人需要や団体顧客でお客を開拓したほうが、
手っ取り早く、安定した経営を手に入れることできます。
法人中心に事業が安定してくれば、顧客の開拓を個人需要に切り替え、
景気に影響されにくい基盤を作ることが重要になります。