後発相手に勝つには、シェアを守ること

 老舗料理番組「キユーピー3分クッキング」が、
 今年で50年を迎えていることをご存知でしたでしょうか。
 63年(日本テレビ版)に放送開始され、
 料理のレシピを知ることが難しかった時代から、
 毎日の献立に悩む主婦の強い見方となっています。

 現在では、料理関連本も数多く発行され、インターネット関連でも、
 新しいサービスが次々と生まれています。
 そこでは、目新しい調理器具を使うものや、
 奇をてらった料理で興味を惹くものが多い中、
 同番組は家庭的な定番メニューでお母様方の力になり続けます。

 日本にマヨネーズを広めたのは、
 キユーピー株式会社の創業者 中島董一郎(とういちろう)氏です。
 若いときに農商務省の海外実習練習生の試験に合格して、
 欧米に渡って調査活動をしているときに、
 レストランでマヨネーズに出会います。

 アメリカ人が色々な料理にマヨネーズをつけて食べている姿を見て、
 栄養価の高さに感心させられるのです。
 日本に帰国後もそのことが気になっていましたが、
 大正時代の事、まだまだ洋食は特別な人達の食事だった為、
 周りに知る人は誰一人いませんでした。

 西洋文化が花咲き始めた1925年、
 念願の国産のマヨネーズの販売を始めます。
 コクを出すためアメリカ製に比べ卵黄を倍の量使ったため、
 ハガキ1枚が1銭5厘の当時、一つ45銭と高価なものになり、
 芳しい売上ではありませんでした。

 百貨店で試食会を開くなど、マヨネーズを知ってもらうため
 広告活動を積極的におこなった成果もあり、
 順調に販売が伸びたものの、
 戦争による原材料不足により生産を休止せざるを得なくなります。

 戦後、生産を開始すると間もなくして食事の洋食化により、
 マヨネーズは大衆の食卓に登場することになります。
 それを見ていた大手水産会社や食品会社が市場に参入して、
 これに対抗するためキユーピーは生産の合理化によるコストダウンと
 値下げを何度も行うことになります。

 結果、二匹目のドジョウを狙った水産会社のマヨネーズは
 次々と姿を消してしまい、
 キユーピーと味の素の製品だけが残ることになったのです。

 ヒット商品が登場すると、他のメーカーから同じような商品が、
 次からつぎへと送り出されることは、当たり前になっています。
 後発組は、少し品質を落とすか、できるだけ品質を近づけて、
 値下げすることで市場に参入しようとしてきます。

 注意しないといけないのは、値下げするということは、
 「利益を削る」ことになるということです。
 安易な値下げは、自分の首を絞めることになりかねません。

 コストダウンによって、利益を確保しつつ値下げできるようにすることは、
 会社として理想の姿ですが、同業者との競争で、
 利益が圧迫されそうになったときに考えないといけないことは、
 売上の確保ではなく、シェアを確保することです。

 百花繚乱的にいろんな分野に手を広げるのではなく、
 商品、地域、客層で自社の得意分野を研究して、
 その分野に的を絞ってエネルギーを注ぐのです。
 そうやって集中することによって、
 納入運賃、営業コスト、在庫ロスを抑える事ができるのです。

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