このところ、政治関連のニュース番組で取り上げられることが多く、
何かと話題に上っているのが、浪速こと「大阪」です。
大阪が紹介される際に、映し出される風景に必ず登場する、
道頓堀川沿いにあり、両手を高々と上げ、ゴールに飛び込んでいく選手の看板。
この看板を、長年この場所に掲げているのは、
皆様ご存知の江崎グリコ(グリコ)です。
グリコの主力商品のひとつ、スナック菓子の「ポッキー」、
国内外の販売金額は250億円にも達しているヒット商品となっています。
いつもとは少し違ったポッキーが、大阪に登場し話題になっています。
名前は「バトンドール」、なんとも洒落たネーミングですが、
現在のところ、売られている場所は大阪の百貨店のみ、
2ヶ所の地下食料品売り場となっています。
「デパ地下で売る大阪土産を」と、百貨店からの提案をきっかけに、
主力商品であるポッキーの高級版を開発することになったそうです。
最初出てくるアイデアは、チョコレート部分に工夫を凝らす事ばかりでしたが、
百貨店の顧客層に訴えかけられるには、
芯の素材に手をつけないわけにはいけませんでした。
ポイントは、より一層濃厚なバター風味を出すことでしたが、
「澄ましバター」を表面に振り掛けることによって実現したのです。
昨年10月の発売以来、年間の売上目標を半年で達成する、
順調な滑り出しを見せています。
当時、森永製菓や明治製菓がキャラメルを販売している中、
新しいキャラメルを発売し、その市場に乗り込んでいったのは、
グリコの創業者の江崎利一氏でした。
そのキーワードとなったのは、「栄養菓子」という発想でした。
自分自身が若い時に、虚弱体質を食餌療法で克服した経験から、
栄養素が健康に大きく影響することを学び取っていたのです。
ある時、カキ料理を作っていると、
煮汁の中にグリコーゲンという栄養素が含まれていることを知ります。
国民の栄養状態が良くない時代、
グリコーゲンを基にして健康に貢献できる食品を
作ってはどうかという気持ちが湧いてきました。
そこで、みんなが喜んで口にしてくれるには、
どうしたらいいかと考えたところ、
キャラメルの中に含ませることを考えついたのでした。
こうして生まれたのが、「一粒300メートル」のグリコなのです。
人目を惹くパッケージと、このキャッチフレーズにより、
瞬く間に人気となり、先発メーカーと肩を並べる地位を確立したのです。
初めて買ってもらったお客様には、
新商品や季節限定商品のパンフレットを入れて、
次の購入へつなげます。
お土産やプレゼントには、商品カタログをつけて、
贈られた人からの注文を促します。
このようなこと、簡単なようで、気がつかないものです。
すべてのお客様に、常連になってもらうという気持ちで
対応する事ですが、おろそかにしていることが多いのです。
ヒットの波に忙殺されて、次の対応を怠っていると、
その加熱ぶりが冷めた後は、一気に販売が落ち込んでしまうことになります。
どんなに良い商品を作っても、繰り返し買ってもらわなければ、
一時的なヒット商品で終わってしまいます。
そこで、ビジネスとして長く発展し続けるには、
「リピート」という視点が大切になるのです。