古臭いままでは生き残れない

 バブル景気後の事を「失われた○○年」と、揶揄して呼んだりしましたが、
 ジーンズ専門メーカーの出荷量は、2000年から比べると半分近くまで減少し、
 まさに、「失われた」時代に突入しています。
 ジーンズ業界は長い冬の時代の真っ只中で、出口が見えず苦しんでいます。

 繊維大手のクラボウが岡山県のデニム糸工場を閉鎖し、
 大手のリーバイスは、10年ぶりに赤字の決算に陥るなど
 ジーンズ業界には、暗雲が垂れ込めていましたが、
 11年5月には、有名メーカーの一つボブソンが倒産するに至ります。

 そして、12年に不正経理をしていたことが発覚したエドウインが、
 11月に事業再生ADR手続を申請することとなり、倒産してしまいました。
 大手ジーンズ専門メーカーが、相次いで倒産に至ったことで、
 国内のジーンズ業界の深刻さがうかがい知れます。

 販売不振に拍車をかけたのは、ユニクロが発売した格安ジーンズでした。
 総合スーパーなどもこぞってプライベートブランドを品揃え、
 一時は、お祭りのような安売り合戦となりました。

 やがて、価格競争は収まったものの、消費者の関心は、
 もっぱら機能性や多様なバリエーションに移り。
 安くて着まわしの利く、伸縮性の高いスキニーパンツや、
 柄物のレギパンに人気が集まることになります。

 また、ジーンズ業界が急激に悪くなった原因はブームの陰りのほか、
 甘い取引方法にあったのではないかといわれています。
 メーカーは、商品を納品すると同時に、
 小売店に販売するのを原則としていました。

 ジーンズの人気が高くなるにつれて、メーカー同士の売上競争、
 売り場の取り合いが始まります。
 やがて、少しでも良い場所、品揃えを増やそうと、
 小売店の仕入れ能力以上に商品を納めるようになります。

 その分については、小売店が販売できた分だけ、
 メーカーから仕入れることになりますが、
 売れ残った分は返品となりメーカーに返されてきます。
 販売時期を逸して戻ってきた商品は、
 定価では売ることができなくなり、
 バーゲン販売することになってしまうのです。

 ファッション業界であれば、
 売れ残りはシーズンごとに値引き販売を行いますし、
 食品、飲食業界であれば、販売期限ごとに商品の廃棄損が生じます。
 それぞれ、納品した商品を定価で完売することは、現実には不可能なので、
 ある程度の見切りや廃棄を見込んでおかなければなりません。

 値引きは利益を薄くすることになりますし、
 原価を割り込んだ値引きや、廃棄損は、
 定価販売した分の利益を削るのと同じことになります。
 このように、在庫には必ずロスというものが生じるということを、
 肝に銘じておかなければなりません。

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