お気づきの方も多いと思いますが、
このところ、テレビ・コマーシャルや検索サイトの広告に、
自動車のCMが目立ってきています。
調査会社の発表によると、正月三が日のテレビのCM本数のトップ3は、
すべて自動車メーカーだったそうです。
今年4月に迫った消費税増税前の駆け込み需要を狙ったものですが、
その時期でなくても、ついついその気持ちになってしまうのは、
私だけではないはずです。
消費税増税に絡み、こともあろうに軽自動車税に、
増税の矛先が向けられたことに納得いかず、
鼻息が荒くなっているのは自動車メーカー、スズキの鈴木修会長兼社長です。
これまでにも焼酎や第3のビールの例があるように、
消費者の税負担が少なくなるよう工夫改良し、
人気が出て新しい商品ジャンルが確立されると、
それに対して課税を強めるのは税制の理不尽なところです。
そんなスズキが本日、軽ワゴンとSUVを融合させた新型軽自動車、
「ハスラー」を市場に投入します。
軽自動車は「生活の足」だと熱弁をふるう気持ちに値する、
新ジャンルを確立するべく力がこもります。
長くスズキは、GM(ゼネラルモーターズ)と提携関係を続けていました。
その提携した時の鈴木氏の発言。
「GMが鯨で、うちがメダカ?いやうちはメダカじゃなくて蚊ですよ。
だってメダカは鯨にのみ込まれてしまうが、
蚊であれば空高く舞い上がることができるのでのみ込まれない。」
VW(フォルクスワーゲン)の提携話が破談になった一件では、
のみ込みたくて我慢できないVW側が、業を煮やしてしまいました。
どんなに自信があり、得意分野で一目置かれていようと、
世界市場から見れば、ちっぽけな会社に変りないのです。
ここまで、スズキが自負するのには理由があります。
そのひとつに、インドの自動車市場を開拓し、
自動車販売のシェアを50%以上獲得した実績があります。
スズキが進出する以前のインドには、様々な問題を抱えていました。
インド固有の階級制度により、服装、部屋、食堂などを
身分ごとに区別するのが当たり前。
また、労働組合の結成率が高く、そのリーダーの多くは、働く時間が短くて、
報酬が高いことを要求するだけでした。
労働者の方も、欠勤することは日常茶飯事で、
勤務時間いっぱい働くことはしなかったのです。
結果、賃金が低い割にはインドでの生産効率は決して高くなかったのです。
また、事業の許可制度や税金も企業が成長するには足かせでした。
いざ事業に乗り出した後も、解決しなければならない課題は山積状態、
一つひとつ潰していくしかありませんでした。
役員、管理職、一般社員の意識改革にはじまり、
政府が取り仕切る規制緩和をしてもらうことの要求、
部品を供給する下請けメーカーに対しても教育することになりました。
その長年の成果が実り、インドでの事業にも日本と同じような
生産体制を作り上げることが出来たのです。
鈴木氏が自らを、「中小企業のおやじ」と称するように、
現場を駆けずり回り、泥まみれになりながら経営をこなす。
コツコツとした労を惜しまない気持ちが、強気の発言に繋がるのでしょう。