昔、駄菓子屋で人気となっていた商品は、
現在もスーパーなどのお菓子の棚で生き残っているから驚きです。
鹿児島の銘菓となっている「ボンタンアメ」もそうで、
発売から88年が経っていますが、固定的なファンに支持され今も健在です。
発売元のセイカ食品は、冷凍食品を中心に取り扱う食品メーカーですが、
これまた鹿児島名物の「南国白くまアイス」も作っていて、
ロングセラーとなる「ツボ」を心得ています。
そのひとつに、意図的に売上の波を作らないようにしているそうです。
派手な宣伝は行わないかわりに、
地道に売り場を巡る営業活動を行い企画を提案すること。
パッケージや商品内容も、発売以来ほとんど手を加えていません。
浮き沈みの激しい商品は、顧客に飽きられるのも早いというのが理由だそうです。
滋賀県に本店を置く、菓子メーカー「たねや」も、
「ツボ」を心得た経営に取り組み、会社を急成長させています。
明治時代から続いた家業に安住せず、
新しい事にチャレンジする傍ら、
地元に根を張ったその経営は老舗の理想といえるでしょう。
しかしその取り組みは、一朝一夕に出来上がったことではなく
失敗の積み重ねに基づいたことであったのです。
先代から「支店を出すな」という言いつけを破り、
支店を出した時のこと。
給与を払う必要の無い身内で、店を遣り繰りしたのですが、
一号店も二号店も全く採算に乗りませんでした。
念願のデパートのテナントに出店した時のこと。
「売りたい」という気持ちが先にたち、
すべてのアイテムの品揃えをして販売に挑んだのですが、
その結果は散々なものでした。
赤字続きの運営に耐え切れず、遂に撤退を決め、
泣く泣く、売れない商品を引き上げました。
すると面白いことが起ったのです、
初代から作り続けている菓子の売上が伸びはじめます。
出店当初の22品を最終的に3品に減らしたのですが、
売上は変わらなかったのです。
売上が芳しくない時に、ついつい手を出したくなるのが次のこと…
「新商品の販売」
「支店(営業所)の開設」
「営業ルートの開拓」
どれも、希望は満ちているのですが、
すべてやってはいけない事ばかりです。
確かに売上は上がるものの、そのために必要となる、
直接、間接の支出はその金額をはるかに上回るでしょう。
手を広げたいと感がえる前に、
自信のある商品の売上を伸ばす方法を考えてみては如何でしょう。