駆け込み需要の反動で、4月以降の消費の冷え込みに、
戦々恐々としてる経営者の方は少なくないはずです。
特に、取扱う分野が住宅や自動車、大型家電といった高額であれば、
なおさらな事で、あれこれ頭を悩ませ四苦八苦しています。
トヨタ自動車は、富士重工業と共同で開発を行い、
18年ぶりに復活させたスポーツカーの人気が順調で、
その勢いを衰えさせまいとニーズの取り込みに躍起です。
かつてユーザーであった中高年に、
もう一度スポーツカーを楽しんでもらいたいという気持ちと、
車離れした若者に、スポーツカーのかっこよさを
味わってもらいたいという思惑が、見事的中している様子です。
一方、専ら生産を担う富士重工業も負けてはおらず、
業界内の立ち位置をわきまえ、無理せず業績を伸ばしています。
けん引役となっているのは、ぶつからない車「アイサイト」機能です。
5月に市場投入する、新型SUVの先行受注も好調で、
増税の反動も寄せ付けないほどです。
どんなに頑張っても、世界シェアの1%程度を確保するのがやっと、
トヨタ自動車と比べても10倍近い開きがあります。
規模への競争を止め、自社の特徴を定義づけて全力集中したそうです。
富士重工業が自動車事業に取り組んだのは「スバル360」でした。
はじめての車であると共に「軽自動車」というジャンルを生み出した、
歴史に残るブランドです。
自動車事業に参入を決めた当時、大卒の初任給は1万円強でした。
市場に出回っている自動車は、国産はトヨタ自動車のトヨペットやクラウン、
外国メーカーのライセンス生産している日産、日野、いすゞだけでした。
どれも100万円を超える価格で、
サラリーマンが簡単に手を出せるものではありませんでした。
大衆車を目指し、半額以下の価格で登場したのが「スバル360」だったのです。
敗戦を期に、航空機からの転換を強いられた富士重工業が、
航空機の技術や設計発想をふんだんに採用して作り上げた会心の作でした。
しかし、時代の流れには逆らえず、
象徴的な事業であった軽自動車の生産から撤退することとなり、
工場もスポーツカーの生産に切り替えることになりました。
現在、軽自動車の人気は高く、新車の4割近くを軽自動車が占めています。
それゆえ、各社が新型車の開発に力を注ぎ、品揃えを充実させているため、
会社間の競争は激しくなるばかりです。
一方、価格が安いため利幅が薄く、開発コストに比べて、
1台あたりの利益は少ないという現実に直面していました。
また、同社の生産に占める軽自動車の割合は1割強しかなく、
シェアからしても、軽自動車まで独自で開発するのは重い負担になっていました。
そこで、独自性が保てる、人気車種にエネルギーを集中して、
その分野だけは、競合他社に立ち入る隙を見せない。
(他と比べて)小さな企業のスタンス(立ち位置)に徹することによって、
生きる道を確保できることになるのです