古い技術にしがみついていると、何も変らない

 ここ数ヶ月、消費税の増税や人気パソコンOSのサポート終了で、
 白物家電やテレビ、パソコンなどの買い替えが活発でした。
 思い切ったものの、配置替えや、配線、配管、関連機器の設定等、
 引越しに近いわずらわしいことが絡んで、
 うんざりした方も多いのではないでしょうか。

 同様なことは、個人も大企業も変わりないようで、
 銀行のATMの9割が、ウィンドウズXPを使い続けているそうです。
 このような時は、頭を切替え、10年以上も前の技術を使い続けていると、
 仕事のやり方や視点が古いままになると割り切るのもひとつの考えです。

 そういう私も、手帳の切り替えについて決断を迫られています。
 これまで、スケジュール管理以外の手帳機能については、
 「手書き」を貫いてきましたが、ここ数年、
 スマホやタブレットの機能を業務で利用することが多くなってきました。

 その理由は、国内の電子手帳市場では老舗というべきシャープが、
 「手書き」機能付きの電子ノートを発売して話題を呼んでいるからです。
 スマホやタブレット全盛時代に逆行しているともみえますが、
 液晶画面とタッチパネルには、お家芸と呼べる高い技術力を持ち合わせています。

 かつて、電子手帳からPDA(携帯情報端末)に発展させ、
 「ザウルス」という名機を作り、一時代を築き上げました。
 私も、スケジュール管理等で長い間利用していたひとりですが、
 スマホが登場し、その座を奪われてしまいました。

 その発明者、早川徳次氏はシャープの創業者であり、
 シャープペンシルの発明から、国産ラジオの開発、日本最初のテレビの発売、
 そして電子レンジ、電卓など、次々と商品化を果たしてきました。

 1923年、シャープペンシルの事業が順調に乗っていた最中でした。
 突然、襲った大地震、それは関東大震災でありました。
 その震災で、3つあった工場がすべて消失してしまい、
 妻と子供までも亡くすこととなってしまいます。
 しかも借金返済のため、シャープペンシルの特許権などを、
 売却しないといけなくなり、無一文になってしまうのです。

 商品の開発力だけで企業が生き残っていくことは、容易いことではありません。
 シャープがいくつのもの商品化を続けていけたのは、
 他より先に先端技術に取り組んでいったことにあります。

 ラジオが全盛のときに、テレビの開発にいち早く着手し、
 そのテレビの最盛期にコンピュータの開発と、
 先々を見据えた方針の決断を行ってきました。

 また、技術開発力だけでなく、その技術を、どこよりも
 早く商品化する力を持っていたからといえます。
 量産化へのノウハウを持ち、シャープペンシルの生産当時(大正初期)から
 コンベアー方式を取り入れ、それがラジオの生産に受け継がれて
 量産体制を作っていきました。

 ゼロからの再起の発端となったのが、
 アメリカから輸入された鉱石ラジオでした。
 ラジオ開発に賭ける決心をしたときの胸中を早川氏は、
 「常に他より一歩先に新境地を拓かねれば、
 到底事業成功は望まれない」と残しています。

 有望視されていた液晶画面では、価格競争という煮え湯を飲まされ、
 身売り一歩手前まで追い込まれている状況です。
 お茶を濁したような手書き機能アプリは数々ありますが、
 これぞ「メイド・イン・ジャパン」と胸をはれるような技術力で、
 起死回生を果たしてもらいたいものです。

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