自家製コーヒーの人気は予想以上で、その勢いにあやかれと、
コンビニ各社は入り口近くに据えられたコーヒーサーバの近くに、
パンや焼き菓子の棚を配置して、「ついで買い」を誘っています。
そして、コンビニ大手のセブン-イレブンが、次なる賭けに出ました。
実験的ではありますが、一部店舗において自家製ドーナツの販売を始めたのです。
市場をミスタードーナツ(ミスド)が独占する中、
その牙城に挑むべく、着々と足元を固めています。
国内のドーナツ市場は、長らくミスドとダンキンドーナッツ(ダンキン)が、
しのぎを削っていました。
しかし、優位に立っていると思われたダンキンは、
競争に負け、あえなく国内から撤退する事となったのです。
その二の舞になってはならないと、
セブン-イレブンでは、製品作りから販売方法まで徹底した力の入れようです。
値段も100円前後の低価格帯に設定し、
普段ドーナツを買わないお客からの需要も見込んでいます。
両社とも、生まれはフランチャイズビジネスの本場アメリカです。
面白いことに、現在アメリカではミスタードーナツは、殆どなくなっており、
親族が創業者となるダンキンドーナッツとなっているそうです。
ミスドとダンキンは、ほぼ同じ時期に上陸してきます。
ミスドは、ダスキンの創業者 鈴木清一氏が加盟店になることを決めます。
それまでは、受け取るフランチャイズ本部の立場にいた自分が、
逆の立場で、加盟料の負担の重さを痛感させられる一瞬でした。
加盟店の運命共同体となるためにも、ひとつのフランチャイズを、
苦労して完成させることは、一つの勉強になると考えて決断したのです。
一方、ダンキンは当時勢いのあったセゾングループが権利を買取り、
全国展開を試みます。
その加盟店には、大手企業や地域の中堅会社が参加することになったのです。
セゾングループとダスキン、例えれば「象と蟻」。
言い過ぎかも知れませんが、電鉄会社を後ろに控え、
百貨店やスーパーを全国展開するグループ会社と、
1億5千万円の加盟料の工面に四苦八苦する会社、力の差は歴然です。
しかし、ドーナッツ・ブランドの軍配は、皆様のご存知のとおりです。
ミスドは、鈴木氏がダスキンと同様、ブランドに魂を入れるかのように、
細やかな日本人の好みに合わせ、
工夫を加え、システムを作り上げ着実に人気を高めていきます。
ダンキンは、本部から加盟店まで、大企業のサラリーマンのごとく、
自ら汗を流すことのない、管理職の仕事だったのです。
責任の所在もはっきりしないまま、アメリカから受け継いだパッケージを、
そのまま日本で展開することしか考えず、
結局は撤退することになってしまったのです。