区切りを意識するからこそ、業績が高まる

 5月は株式上場会社の多くが決算報告を行う時期となっており、
 月末を迎える今では、ほとんどが決算発表を終えました。
 自動車関連など、円安の恩恵を受けた企業の好業績が目立ちましたが、
 小売関連は、店舗縮小やブランド整理など、明暗が分かれる結果となりました。

 元旦を一年の始まりとして、12ヶ月を数えるのを「暦年」と言い、
 これとは別の数え方で、一年間を数えることを「年度」といいます。
 国や上場している会社などは4月1日を一年の始まりとして、
 決算を組んでいて、このことを「会計年度」といいます。

 会社の場合は、その「年度」を自由に決めることが出来て、
 請求の締め切りにあわせて、○月21日から○月20日の
 一年としている会社も結構あります。
 アメリカは10月、中国は1月が、会計年度の始まりとなっています。

 珍しいところでは、農作物の収穫にあわせた年度があるそうです。
 米の収穫時期にあわせた、11月始まりの米穀年度、
 10月始まりの、砂糖年度、大豆年度、でん粉年度などです。
 ちなみに「新米」と謳って、販売が出来るのは、
 収穫した(暦)年中に精米されたお米に限られるのです。

 京都にある電子機器メーカーのひとつである村田製作所は、
 セラミックコンデンサーの分野では世界に屈指のシェアを誇る会社です。
 創業者である村田 昭氏が家業の陶磁器類の焼き物製作を引き継いだ時には、
 一般的な陶磁器や絶縁体に使う碍子を作っていました。

 戦時下における政府の統制により、同業者を集めてひとつの会社とする
 企業合同体制を敷かれていたときのことです。
 財閥系のメーカーから、特殊陶器を製作する依頼が入ってきたのですが、
 業界が伸びるチャンスと見る村田氏に対して、
 他の同業者は首を縦に振る気配がありませんでした。

 そこで、手持ちのお金をはたいて工場を借り、
 単独でその注文の製作に取り掛かったのです。
 しかし、陶器を焼くための燃料の調達に手をこまねいている間に、
 メーカーから返ってきたのは「別に工場を作ってしまった」とツレナイ返事でした。
 その代わりに紹介されたのが、セラミックコンデンサーの製作だったのです。

 その時に知り合ったのが、京都大学のある助教授でした。
 終戦後の混乱期の中で、売れるものは何でも作り、
 その日その日を食いつなぐのが精一杯の時期でした。
 助教授も研究費を捻出するため、
 簡単な電気製品を作るアルバイトのようなことをしていたのです。

 助教授の研究応援する代わりに、村田氏のセラミックコンデンサーの開発に
 協力してもらう事を申し入れたのです。
 まもなくして民間ラジオ放送の開始により、
 コンデンサーを多く使うラジオの普及により、
 村田製作所は電子機器メーカーへと礎を築いたのです。

 ビジネスにとって、年度の区切りをするというのは、
 経営の成績を見極めることにつながります。
 農業では、「収穫」の前に「栽培」や「種まき」が必要な様に、
 販売(受注)の前には、営業や商品開発が必要になります。

 当ても無く、営業や商品開発を続けていても経営としては成り立ちません。
 よって、どんな時でも期限を決めて、活動をしていくことが必要になります。
 身近な1年間の区切りをもって、経営成績の判断をすることは、
 とても役に立つ方法なのです。

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