景気の風向きに合わせて舵を切る

 こちら京都では、西日本最高級の部屋を含む高級マンションの販売が始まり、
 第一期分は即日完売したそうです。
 中心部から近くて景観も良いことから、発売前から話題に上っていましたが、
 噂どおりセレブの方たちがお買い上げになった様子です。

 一方、デフレの雄とまで揶揄されたマクドナルドが、
 瀕死の状態で回復の兆しが見られません。
 先月には、大量閉店した様子がニュースで流され話題になっていました。

 世の中は、数年前までのデフレの様相から一変し、
 「安い」だけでは満足できなくなったプチセレブが、
 一気に「高級志向」の波に押し流されているかのようです。
 
 安上がりでお腹が満たされる象徴ともされるハンバーガーですが、
 このところその状況も変わりつつあります。
 各社、価格の限界である400円に挑戦した商品を相次ぎ発売しています。

 ハンバーガー・チェーンのモスバーガーでは、
 イタリア産の豚肉ベーコンを使った上位価格帯のハンバーグを発売し、
 高級バーガーを取り扱う新型店舗を出店しています。

 米の高級ハンバーガー・チェーンが日本に一号店をオープンし、
 上質で高級な商品に消費者の関心が集まる中、
 その余波を期待し低価格商品からの脱却を狙っています。

 日本独自のファスト・フードと言えば、うどん、そば、お好み焼き。
 繁盛している店は、結構路地裏にあるものです。
 ここに目をつけ、駅前の一等地でなくて、あえて一筋、二筋はなれた場所に
 立地を選び出店しているのがモスバーガーです。

 「立地が悪くても、良い店づくり、良い雰囲気、良いサービス、
 何より良い商品があれば繁盛する」
 モスバーガーの創業者 櫻田 慧(さとし)氏が、第一号店を出店する
 ときに試行錯誤の末、たどり着いた結論なのです。

 櫻田氏は証券会社に勤めていました。
 大企業が故の冷遇された状況に我慢が出来ず、同僚2人を誘って
 飛び出したのです。

 証券会社勤務時代に取引のあった皮革問屋へ就職、
 おにぎりの路上販売と新しい事業をはじめるのですが、どれもうまくいかず。
 思いあぐねているときに、飛び込んできたのが、
 マクドナルド銀座1号店のニュースでした。
 そのマクドナルドに触発されて…
 「もっとおいしいものを作れば、絶対売れる!」

 なけなしのお金と友人からの借金、虎の子の800万円を手にして、
 日本人好みの味を探して、3人はハンバーガーの本場
 アメリカへ向かったのです。
 半年かけて使ったのは600万円。
 日本人の舌にあった味を出すためにバンズ(パン)、パテ(肉)、
 ソース、すべてに手を加えていきました。

 気の遠くなるような研究の末、ミートソースに隠し味に味噌を使った、
 最初の「モスバーガー」が完成したのです。
 「路地裏でも、おいしいものを出せば、必ず繁盛する」
 しかし、実験的に出店した店は2店とも失敗に終わってしまいます。
 一軒は地下、もう一軒は二階でした。

 「地上に出れば、絶対買ってくれる」
 目を付けたのは、八百屋の倉庫でした。
 毎日、荷降ろしを手伝ってまで、やっと借りることが出来たのが、
 わずか2.8坪のスペースでした。

 「こんな、おいしいハンバーガーは食べたことが無い」
 一号店の評判は、上々でした。
 反対に人手不足は深刻で、スタッフは自宅に帰ることができず、
 櫻田氏の自宅に泊まることもしばしば。

 体調を崩してまで、頑張っている姿を見た友人が、
 ある時こう忠告してくれたのです。
 「一生懸命やっているけど、売り込みすぎている。
 買ってもらえるような良い雰囲気を作らないといけないよ」

 日本流ファスト・フードの原点はこうして作られたのです。

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