築き上げたノウハウを、新天地で試す

 海外事業に力を入れている、丸亀製麺を展開するトリドールは、
 欧米や東南アジアを中心に出店を行い、並行して企業買収を速めることにより、
 10年後には売上高を6倍近くの5000億円に引き上げ、
 上場する外食企業で世界トップ10入りを目指すと息を荒くしています。

 直近では、マレーシアの新興外食企業を買収して、
 現地や中東のイスラム教徒の外食需要を狙っているそうです。
 豚肉を使わないスープの麺料理は、若者や会社員に人気があり、
 同社が持つ出店やFC運営に関するノウハウを使い、
 展開を速められると期待しています。
 
 幸運にも事業が上手く進み、大金を手にした時。
 それを何倍、何十倍にもしたいと思うのは経営者としては当然です。
 しかし、自らの手で多店舗展開するとなると、品質や人の管理、
 資金繰りなど頭を悩ますことばかりです。

 そのような事を軽くしようと、ついつい誘惑に負ける、
 フランチャイズ・チェーン(FC)という仕組み。
 外食であれば、「ブランドの知名度を高める」「マニュアルを作る」、
 「調理は、セントラル・キッチンで一貫して行う」といったところが王道です。

 経営者には、このような仕組みを、抵抗なく導入できるタイプと、
 違和感が起きるタイプがいます。
 全国にうどんチェーンを展開するトリドールの創業者
 粟田貴也氏は後者だったようです。

 会社名の「トリ」が表すように、最初は焼鳥店からスタートでした。
 大学を中退して、運送会社のドライバーとして開業資金を貯め、
 やっと漕ぎ着けた念願の店。
 蓋を開けてみると、お世辞にも繁盛しているとは言い難い状態でした。

 試行錯誤の末、順調に2店舗目をオープンさせることができ、
 3店舗目には、女性をターゲットとした洋風焼鳥店に挑戦します。
 物珍しいもの好きの女性にありがち、最初の頃は良かったものの、
 女性客狙いの店が次から次へと登場し、売上は下降の一歩を辿ったのです。

 原点に戻って、家族が連れ立って足を運べる焼鳥店を開いたことから、
 順調に事業を拡大することができました。
 その後、うどんチェーンに軸足を移そうと思ったのは、
 讃岐うどんブームの影響もありますが、鳥インフルエンザがきっかけでした。

 先に起ったBSE問題で低迷する焼肉業界を目の当たりにしたことから、
 鶏肉を扱う事業だけでは不安を感じたからです。
 当時は、大手にうどん専門は無かったものの、
 メニューにうどんやそばを載せている外食チェーンはたくさんありました。

 そして、うどんチェーンを展開するに当たって、
 「店内製麺」と「直営」を決断します。
 安い単価で勝負することで、勝算はありましたが、
 「安かろう不味かろう」では、繰り返し来店してもらうことはできません。

 そこで、目玉としたのが店内製麺だったのです。
 「 できたて感 」 「 手づくり感 」を売りにして、
 安くて美味しいうどんを目指したのです。
 また、その時々で違う麺の出来上がりに、マニュアル中心のFCは、
 馴染まないため、「直営」は当然のなりゆきでした。

 他と違うことを考えるのは成功の一歩となります。
 人が通った道を歩くのは、二匹目のどじょうを狙うことなり、
 大きな期待はできないからです。
 他人が、「見逃している」「遣りたがらない」ところに勝機があるのかもしれません。

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