優れた経営の否定から成長が生まれる…

 セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長が突然の辞任となりました。
 お家騒動的な見出しでスキャンダラスに報道されるのは、
 少なからず抵抗がありますが、
 ひとつ時代の区切りを迎えたということでしょうか。

 同社は、昨年の9月に10歳の誕生日を迎えたばかり、
 ご存知のとおり、セブンイレブン・ジャパン(セブンイレブン)をはじめ、
 イトーヨーカ堂、デニーズジャパンの持株会社として出発しました。

 その後、そごう・西武、赤ちゃん本舗、ニッセンを傘下に収め、
 今では、日本を代表する多角化企業となっています。
 核となるセブンイレブンは、アメリカで広まりかけていたコンビニ事業を、
 いち早く研究し、日本に広めたのは皆様がよくご承知のとおりです。

 飲み物や食べ物の購入だけでなく、宅配の荷物や銀行のATM、
 各種チケット類の受取りなど。
 私たちが必要とする機能を余すところなく吸収して、
 今や、日常生活に無くてはならない存在となっています。

 これらの機能、もとはそれぞれの会社が独自で担っていたものです。
 しかし、営業時間が限られていたり、窓口となる拠点が限られていたりと、
 決して使い勝手が良いものとはいえませんでした。

 そこで、会社ごとの垣根を飛び越え、サービス単位で各社共通したことにより、
 利便性が飛躍的に高まることとなったのです。
 加えて、セブンイレブンを成功に導いたのは、情報技術を駆使して
 商品管理を徹底しておこなったことといわれています。

 「無」から事業を育て上げた大胆さと
 商品管理を率先して築き上げた、鈴木氏の緻密さによるものですが、
 その緻密さは、その師匠から受け継がれたものなのです。

 鈴木氏は、30歳でイトーヨーカ堂に入社したのですが、
 そこで、当時創業者で社長であった伊藤正敏氏から、
 「慎重」であることについて教え込まれます。
 同社の高収益な経営は有名ですが、そのような経営体質は、
 一朝一夕に生まれてきたものではありません。

 そんな「慎重」であることの一つとして、
 伊藤氏の出店方法があげられます。
 他の大手スーパーマーケットが全国展開するのと対照的に、
 地域を絞って集中的に出店する
 いわゆる「ドミナント戦略」をとっています。

 そして、駅前などの一等地を避け、いわゆる二流の地域に、
 他社より大きな店舗を構えるようにしているのです。
 伊藤氏曰く…
 「限られた資本を最大限に活用するには
  二等地を選んだ方が、投資効率がいい」

 そんな伊藤氏の「慎重さ」を土台にして
 延長として鈴木氏の「緻密」が出来上がったといえます。
 大胆に見えるけれど、実は確実性が低い新規事業だからこそ、
 緻密に行動することが、何より大切であることを教えてくれています。

 このところ、コンビニチェーンは全国制覇という夢を捨てきれないのか、
 空白地域への出店や、競合同士の提携の話題が後を絶ちません。
 スーパーマーケット(GMS)は、繁華街の一等地に大きな店を構え、
 高層ビル型の店舗で客を待ち受けるだけの
 百貨店の経営を否定することで成長してきました。

 その方法が店舗の全国展開だったのです。
 しかし、GMSの経営もかつての面影も無く赤字すれすれの状態です。
 曲がり角に差し掛かったGMSを補うように成長しているコンビニ事業、
 同じ轍を踏まぬよう進んでもらいたいものです。

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