天候の異変や増税、はたまた景気の先行き不透明感など、
理由をあげればキリがありませんが、
百貨店やスーパーで衣料品の販売不調が止まりません。
その一方で、アパレルメーカーの下請工場が独自に立ち上げた
「ファクトリーブランド」が好調に推移しているそうです。
金額は少し高めだけれど、着心地や素材を比べると割安感が特徴で、
どのアパレルブランドも流行を前面に押し出すあまり、
似通ったデザインで個性がなくなっていることの反動が表れています。
起業したなら誰しも憧れる株式公開(上場)という目標、
実際は、目標ではなく出発点であるといえます。
不調にあえいでいるアパレルメーカーの中には、
その道を歩んできた会社が多くありますが、現在岐路に立たされています。
公開後コンスタントに売上を伸ばし、利益を出し続けるというのは、
本当に大変で「才能と努力」無しには、決して叶えることはできません。
運良く「株式公開」という切符を手に入れても、経営者に技量がなければ、
あたり構わずM&Aを行い、売上のかさ上げ、利益の水増しに、
明け暮れることになってしまいます。
順調に業績を伸ばし10年20年と舵取りを続けている、
経営者の過去を振り返ってみると、見習う点がたくさんあります。
目先のことばかりに気をとられて、業績が芳しくないと感じたら、
土台となる方針に狂いがないかじっくり考えてみては如何でしょうか。
日用雑貨を扱う小さな会社で二人の青年が出会い花開いたビジネスの芽。
その名前は、木口 衛と畑崎廣敏。
見事な二人三脚でニットの卸売りからはじめ、
国内有数のアパレルメーカーとして成長させたのでした。
全く性格の違う二人は、周りから見れば「水と油」
決して交わることが無いと思われていただけに、
日を経たずして、「喧嘩別れ」して店じまいすると噂されていました。
そんなことはお構いなしに、二人はお互いに足りない部分を補うことで
車の両輪の如く、事業を切り盛りしていったのです。
社名は「ワールド」、衣料品から雑貨、靴に至るまで、
ファッションを総合的に展開している会社です。
また、宣伝でも社名を前面に出さず、それぞれのブランド名で展開していて、
この方法は創業当初からのことで、この戦略がワールドの成長を支えています。
ある事業が順調に行っているときに、「長所」となることが、
事業が上手く回らなくなると、途端に「短所」に変化してしまうので、
注意が必要です。
会社の「長所」と「短所」は、絶えず表裏の関係であるといえます。
それゆえ、経営者は絶えず、ビジネスの潮目を感じ取り、
事業の転換を図るタイミングを見極めなければなりません。
ワールドの創業者の関係は、まさしく二人の両目が前後を見据えて、
互いの欠点をカバーし合って、
進む方向を見誤らないようにしてきた結果といえるでしょう。
このように、恵まれた相棒にめぐり合うことは、
望んでも叶わないことですが、
順調な時こそ、自分自身に「長所」と「短所」の関係を肝に銘じ、
暴走を防ぐことが、安定的な経営への一歩だと言えます。