年々暖かくなる傾向にある日本の冬ですが、
エコ思考やウォームビズの広がりの影響で、電気コタツが見直されています。
家電量販店やホームセンターでは、入り口付近にコーナーを作り、
また、デザインに凝ったものや高級志向なものも表れるなど、
大々的に展示を行っています。
畳生活が中心であった時代は、寒くなれば押入れからコタツを取り出し、
冬の間、居間の中心に置かれる重要な存在でした。
家族団らん、食事時や来客時、どんなときでも足もとポカポカ、
みんなを迎えてくれる万能選手です。
古くから、囲炉裏や火鉢にやぐらをたててコタツとして利用していました。
火事など事故の心配もあり、温度調整に手間のかかっていたコタツでしたが、
電気コタツが登場して、便利になり一気に世の中に広まりました。
きっかけをつくったのは、
発熱部に赤外線ランプを使った電気コタツの登場です。
この赤外線ランプ、工業目的で乾燥用として開発されたものでした。
さらに、赤外線が皮下の血行をよくして新陳代謝を促す効果があるとして、
医療器具として認可を受けていたのです。
この赤外線ランプを使って、暖房器具を作れないかと思い立ったのは、
現パナソニックの商品を製作していた、
寿真空(現在はパナソニックの子会社)の稲井隆義氏です。
そんな経緯から、赤外線コタツも60年の発売当初は、
医療器具として販売されていたのですから驚きです。
当時の広告には、「神経痛、シモヤケ、にも効き目がある」と謳ってあるので、
その自信の程が窺えます。
しかし、ぽっと赤く光るランプが、「赤すぎて危険に感じる」
「足が赤く見えて恥ずかしい」など、
販売店でのお客の反応はいいものだけではありませんでした。
稲井氏は、営業の先頭に立ち、赤外線ランプの便利さを訴えると共に、
全国各地に出向いてお客の声を聞き、製品の改良を重ねます。
今では、あたり前となっていますが、ワット数切替え機能を付けたもの、
就寝兼用に低ワット切り替え機能を付けたものを発売します。
その後、家具調になったコタツが登場し、発熱部がファン式になったもの、
消臭機能付、リモコン部がワイヤレスになったもの、進化し続けています。
また、ダイニングテープルに発熱機能を取り付け、
冬にはコタツとして利用できるようにしたものもインテリアとして登場しています。
現在は、中国製など海外製品の参入により、
大手メーカー製はほとんど見かけなくなりましたが、
赤外線コタツを発売した初年度に6万台を超える数を市場に送り込んだのです。
このことにより松下電器(現パナソニック)は、長い間トップシェアを維持します。
新商品がヒットするには、瞬発力が鍵を握る場合があります。
注文があるのに、生産が間に合わないと、
他社から模倣品がどんどん流れ込むことになります。
さらに、シェアを奪い取ろうと低い価格設定で市場に入ってきます。
類似品や模倣品が作られやすい商品については、先手必勝。
早い段階で、市場(この場合には、販売店)を手中に収め、
高い価格設定のまま、できる限り多く販売することが儲けに繋がるのです。
赤外線コタツの発売当初の価格は、5000円弱、
半世紀経った現在もコタツの価格はほとんど変わっていません。
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