都市の市街地など、近くに大きなスーパーが無い地域では、
衣料品や雑貨を取り扱わない、いわゆる食品スーパーの支持は根強いものです。
また、古い町並みが残る地域では、必然とお年を召した方も多くなり、
遠くまで買い物に出かけることが一苦労で、
歩いて行ける距離にスーパーがあるとありがたいものとなっています。
大手の総合スーパーも、このことを無視できなくなり、
ミニスーパーと呼ばれる、コンピニ程度の広さの食料品に品揃えを絞った店舗を、
都心部を中心に展開をはじめています。
これまでは、売上に見合う家賃の候補地が見つからないことと、
効率を優先するあまり、小さな店舗を構えることを避けてきていました。
しかし、食品スーパーに対する需要の高さと高齢者の増加を見越し、
これまでの方針を転換し、隙間をミニスーパーで埋めていこうとしています。
ここにきて、食品スーパーを展開する関西スーパーマーケットと、
阪神・阪急百貨店を中核とするエイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)が
業務提携することが発表されました。
H2Oは、14年にも総合スーパーのイズミヤと経営統合を発表していて、
近畿圏で、百貨店・総合スーパー・食品スーパーという、
流通ネットワークが出来上がることになります。
この様なネットワークを作ることの大切さは、
いわゆる「ドミナント戦略」という考え方が基礎となっています。
地域を絞って集中的に出店することによって、
店舗全体の運営効率が高めるられることになるのです。
関西スーパーマーケットの創業者北野祐次氏は、次のように語っています。
お客様の食生活に密着した「普段のおかず屋」になることによって、
店舗を出店できる可能性がある。
その思いは、北野氏の恩師が経営するアメリカのスーパーが辿った、
不幸な運命に大きな影響を受けています。
その会社は、フィラデルフィアで果物と野菜を扱って成功を収めていました。
しかし、やってきた不況に、品揃えを増やし売上を伸ばす必要に迫られます。
多額のお金をかけ設備投資し、生鮮食品の取扱いを始めたものの、
近くに大手チェーン店が出店して、値引き販売をしてきたのです。
対抗しようと、客寄せに目玉品を原価以下の値段で販売し始めましたが、
すぐさま仕入先に手を回され、商品の仕入が出来なくなります。
その後、アメリカにもスーパーマーケットが各地で出来始め、
やむなく、業態をスーパーマーケットに変えることになります。
お客の足をこちらに向かせるため、
次から次へと新しいサービスを導入するのですが、
上手く行ったものはすぐに真似をされる事になってしまいます。
また、値引きは日常的なものとなり、
どちらかが倒れるまでの消耗戦となってしまいました。
売上を保つために闇雲に出店を続け、
競合が現れると値引き販売で対抗するということを繰り返し、
結局、破産してしまうことになったのです。
規模の小さな店舗を運営する場合に足かせとなるのは、
割高になる運送費と人件費の問題です。
小さな店舗の場合、少ない分量を1台のトラックで運ぶことになりため、
商品あたりの運賃が高くなります。
人員も、広さが半分になったからといって人数が半分になるかといえば、
そうはならないので、交代や管理のための人が余分に必要となります。
こうしたことを解決するため、出来るだけ早い時期に2店目、
3店目の店を近くに作る必要があるのです。
近くに店舗があれば、数店分の荷物を1台のトラックで運べることになり、
一店だけに運ぶ時と比べて運賃が高くなることはありません。
また、一人が複数店を掛け持ちで見ることが可能になり、
余分に係る人件費を少しでも抑えることができるのです。
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発 行 元:シモヤマ会計事務所(下山弘一税理士事務所)
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