日本たばこ産業(JT)が、海外たばこ会社の大型買収を発表して、
注目を集めたのも記憶に新しいところです。
話題の中心は、その買収金額の大きさで、
米たばこ大手が持つブランドの米国外事業を、
6000億円で買収するというものでした。
というのも、国内で男性の喫煙率は30%を切り、
たばこの販売本数もピーク時のほぼ半分になっているそうです。
公共施設内での喫煙の規制や飲食店内での分煙、
加えてマンション等のベランダでの喫煙の制約で、
ホタル族の肩身は狭くなるばかりです。
そんな逆風を巻き返そうと、
国内外のタバコメーカーは「過熱式たばこ」の普及に力を注いでいます。
過熱式たばこは、紙巻タバコと同様の葉タバコを電気で過熱しその蒸気を吸い、
煙や灰、嫌なにおいも出ず、周囲に迷惑を掛けにくくなります。
最初に、過熱する為の機器を購入すれば、
タバコ本体の負担は紙巻タバコ程度の金額で済むそうです。
JTは、消費量の減少に歯止めをかけ、需要の拡大を狙い、
総額500億円を投じる予定だそうです。
鎖国が開け、海外の文化がいっせいに押し寄せてくる中、
それまでキセルを使って吸っていたタバコは、
紙巻タバコという形になって日本に入っていきました。
そして国産タバコは日本の歳入を支える、大変ありがたいものでした。
それまで民営だったタバコの製造販売を
明治後期、国が独占して行う「専売制」に切替え、
平成の少し手前まで続いていました。
民営だった頃、タバコの販売では東西を分ける
熾烈な争いが繰り広げられていたのです。
舶来品に負けるなと、国産で最初に紙巻タバコである、
「天狗印」を世に送り出したのは、東京の岩谷松平氏でした。
遅れはしたものの、新しい製法を用いて、
京都の村井吉兵衛氏が「ヒーロー」を発売します。
両者は、互いに一歩も譲らない、広告合戦を繰り広げるのでした。
国産の葉タバコを主流とした岩谷氏は、
赤いシルクハットにフロックコートのいでたちで、
赤色の馬車で町中を回ります。
銀座にある店も真っ赤に塗り「赤ずくめ」で人目を惹きつけました。
一方、村井氏は輸入葉タバコを原料として、
高級品として「ハイカラ」なイメージで広告するのです。
音楽隊を引き連れ、商品名を書いたノボリを掲げた馬車を連ねて
宣伝パレードを行います。
それまでの古いやり方である…
「とうざい…とうざい」と触れ回る口上を使わない、
アメリカ流を取り入れたのです。
国産のタバコが登場して、国営化されるまでの10年間という
わずかな期間でありましたが。
包装紙や商品のパッケージの印刷、宣伝ポスター、
おまけとしてパッケージに入れた美人画など、
それまでには無かった、印刷を駆使した宣伝の先駆けとなったのです。
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