一発芸(ネタ)以外に芸の幅を持たない(だろう)
お笑い芸人に対して使われる「一発屋」という言葉。
野球選手に対して使われていたことが、
歌手やタレントに対しても使われるようになったそうです。
急激に人気が盛り上がった割に、
活躍する期間が短命に終わってしまう人を意味しています。
個人の才能が100%生きる分野で、
陽の目を見るために「一発屋」を目指す事はやむを得ませんが、
起業を考える際、「一発当てて、一攫千金」と安易に考えることは、
全くもって賛成できませんです。
ダイソン社がサイクロン型掃除機の機能性の良さを宣伝し、
高価な金額に拘らず大ヒットしたことは、記憶に新しいところです。
その後、国内メーカーも追随し、
フィルター型一辺倒であった掃除機に新しいジャンルが加わりました。
こういった商品が登場するたび、私はその会社が「一発屋に終わるのか」、
「急成長するのか」と、興味津々で観ています。
その際、注目しているのは、次の一手が出せるかどうかということです。
ビジネスというのは、繰り返し販売することで成り立っています。
例えば、掃除機のように一度買えば、5年10年と長持ちする商品の場合、
ヒット商品のブームが去った後、次の買い換え時期まで、
どうやって経営を維持するのか、考えておかなければいけません。
昭和の発明王、ホンダの創業者 本田宗一郎氏も、
自動車メーカーの下請けとしてピストンリングや、
頼まれるがまま工作機械などを作っていた一人でした。
終戦を迎え、そんな仕事も途絶え、日ごと手持ち無沙汰で
製塩機やアイス菓子機を作って時間を潰していました。
ある日、古くから付き合いのある友人宅を訪れた時に、
家の中に転がっている無線機用の発電機エンジンに目が留まります。
当時の大衆の足はもっぱら自転車に頼りきりで、
荷台に山のように荷物を積み、行き来していました。
「このエンジンを自転車に付けて、補助動力にできたら」
どんなに楽か…、人に喜ばれるか…
そんなことを思うと居ても立ってもしておられません。
早速、家にあった湯たんぽを燃料タンク代わりにして組み立ててしまいます。
知り合いに売った自転車はコミで広がり、
自転車屋やヤミ業者が、遠方から買いにやってくるようになります。
あまりの売れ行きに、エンジンの製造まで手がけるようになり、
最初は毎月、200から300台作っていたものが、
そのうち1000台を超えるようになっていったのです。
この成功が、夢の第一歩となります。
すぐに、社員の知恵を絞りバイクの開発に取り掛かります、
その名は「ドリーム号」、まさにこの車に運命を託すことになるのです。
引き続いて発売された「カブ号F型」は、様々な点に工夫を凝らし、
女性にも親しまれるデザインが人気となり、後の「スーパーカブ」を代表とする、
ホンダが小型バイクで飛躍する基礎となった製品となります。
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