お知らせ

 平成29年の相続税路線価の動向について紹介します。

 先日、平成29年の「路線価」が公表されたというニュースをみました。今年の結果の特徴を教えてください。

 全国の標準宅地の評価基準額の平均変動率は前年比0.4%のプラスとなり、都道府県別では、東京の一極集中が目立ち、日本社会の縮図が浮き彫りとなりました。以下、詳細解説にてご確認ください。

 「路線価」には、相続税路線価と固定資産路線価がありますが、一般にいう「路線価」は相続税路線価を指し、相続税や贈与税の算定の基準となるもので、国税庁が公表します。3月に国土交通省が発表した地価公示と同様、毎年1月1日時点における1平方メートルあたりの土地価格を示したもので、地価公示価格等を基として算定した価格の概ね80%を目安として評価されています。平成29年分の路線価は、平成29年1月1日から12月31日までに発生した相続・贈与に関わる相続税・贈与税の申告に利用されることになります。

 今回の路線価の概況をみてみましょう。全国の標準宅地の評価基準額の平均変動率は前年比0.4%のプラスとなりました。リーマンショック以降8年ぶりに0.2%の上昇となった前年に続き2年連続の上昇となり上昇幅が拡大しました。前年を上回ったのは東京都、大阪府、愛知県など13都道府県であり、昨年の14都府県から減少しました。一方、前年より下落した県は秋田県、愛媛県、三重県など32県であり、昨年の33県から減少しました。

 都道府県庁所在地の最高路線価をみると、27都市(昨年は25都市)が上昇しました。うち東京や横浜、大阪のほか、京都、神戸、札幌、仙台、広島、福岡、金沢の10都市の上昇率が10%超となりました。地点別の最高路線価地は、東京・銀座の文具店「鳩居堂」前が1平方メートルあたり4,032万円で、32年連続日本一となるとともに対前年比+26.0%と上昇率もトップとなりました。この価格はリーマンショック前の水準はもとより、バブル期(1992年に記録した過去最高額3,650万円)をも上回る水準です。東京・銀座に続く第2位は大阪・梅田の1,176万円(前年比+15.7%)、3位は横浜駅西口の904万円(同+15.7%)と続いていますが、大阪・梅田でも東京・銀座の3割弱の水準に留まっており、東京・銀座の突出ぶりが際立つ結果となっています。

 上記とは反対に、最高路線価が最も低かった都道府県庁所在地は鳥取の11万円であり、秋田の12万円が続いています。但し、鳥取は対前年比がプラスマイナス0%(昨年は-4.3%)と下げ止まったのに対し、秋田は対前年比-4.0%(昨年は-3.8%)と下落傾向が続いており、この傾向が続けば、秋田が鳥取を下回る可能性もありそうです。

 なお、東京・銀座の路線価は鳥取の路線価の約367倍ということになり、東京一極集中や、少子高齢化及び人口減に悩む地方といった日本社会の縮図が路線価を通して浮き彫りになっているともいえます。

 路線価については、下記の路線価図等閲覧のページで確認できます。

 平成29年分路線価図等閲覧
  http://www.rosenka.nta.go.jp/
 国税庁の発表資料(都道府県庁所在都市の最高路線価についても掲載)
  https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2017/rosenka/rosenka.pdf

 

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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 会社が契約者となり生命保険に加入し、遺族に退職金を支払うことで遺族の相続税納税資金を確保できます。

 私は、現在60歳で会社を経営しており、代表取締役です。先日、取引金融機関の勧めで相続税のシミュレーションをしました。結果は、会社の土地建物、自社株が保有資産の割合で多くを占めていました。その影響から、相続税額は、現在保有している預貯金額を上回っていました。今後の会社の業績見通しは良く、自社株の評価額が上昇していくと、さらに相続税額が高くなるため、納税資金を確保する必要があるとアドバイス頂きました。
 そして、会社が契約者・受取人、被保険者は私となる契約で生命保険に加入し、相続発生時には、会社に支払われる死亡保険金を死亡退職金の原資として家族へ支払い、納税資金を確保するという提案を頂きました。
 金融機関からの提案内容について改めて教えてください。
 また、死亡退職金に相続税法上の非課税枠があると伺いましたが、どのような内容でしょうか?
 私には法定相続人が3名います。

 今回のご提案内容は、会社で保険契約を締結することが前提となっています。会社が契約者となり生命保険に加入し、遺族に退職金を支払うことで遺族の相続税納税資金を確保できます。

 国税庁のタックスアンサーには、非課税となる退職手当金等として、以下の記載があります。


 相続人が受け取った退職手当金等はその全額が相続税の対象となるわけではありません。
 全ての相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人は含まれません。)が取得した退職手当金等を合計した額が、非課税限度額以下のときは課税されません。

 非課税限度額は次の式により計算した額です。

 500万円 × 法定相続人の数 = 非課税限度額

 なお、相続人以外の人が取得した退職手当金等には、非課税の適用はありません。

  1. (注)
  2. 法定相続人の数は、相続の放棄をした人がいても、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数をいいます。
  3. 法定相続人の中に養子がいる場合の法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人、実子がいないときは2人までとなります。

 法定相続人の数に含める養子の数の制限については、相続人の中に養子がいるときを参照してください。


 よって、法定相続人3名の場合は、死亡退職金の非課税限度額は、500万円×3名=1,500万円となります。

 ご提案内容は、会社で保険契約を締結することが前提となっています。
 会社が契約者・受取人となる契約に加入すると、保険金の受取りは会社となりますので、保険会社から直接ご遺族に保険金が支払われるわけではありません。
 ただし、保険金を受け取った会社が、これを死亡退職金の原資として、ご遺族へ支払うことはできます。そのため、ご遺族(相続人)は、死亡退職金を受取り、相続税の納税資金を確保することができます。
 また、会社が契約者・保険金受取人となって生命保険に加入する場合、保険種類によって、会社は保険料の全額または一部を法人税額の計算上損金に算入することができます。損金算入できると、会社は保険料を支払った年の利益を圧縮して、課税を繰り延べることもできます。
 ただし、相続対策は長期間になることも予想されますので、保険期間は終身もしくは長期になる契約をお勧めします。

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
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