民放の音楽番組が次々と姿を消すなか、
50年を超えて支持され続けている番組「題名のない音楽会」。
クラシックというマニア寄りになりがちな内容にもかかわらず、
この3月の放送で2500回を迎えるそうです。
趣向を凝らした構成が長寿を支えているのだと思いますが、
スポンサーが一社提供であることで企画に自由さが増し、
放送開始から月日が経っても少しも古さを感じさせません。
その懐が深いスポンサーは、美術にも造詣が深い出光興産です。
最近では、小説「海賊とよばれた男」が注目を集め、
昨年年末に映画が公開されました。
最近では珍しい、実在の会社、人物を主人公とした内容で、
出光興産と創業者の出光佐三氏が行った、歴史的事件を題材としています。
燃料が石炭から石油へ切り替わろうとしている時期、
国会に貢献するという意志を持ち、石油の供給ルートを確保するため、
欧米諸国に対して、勇敢に立ち向かう姿が描かれています。
同社は、創業者の出光佐三氏が1911年に北九州の門司で、
日本石油の特約店として機械油の販売をしたことから始まります。
その後、漁船への燃料油を足がかりに、日本の海外占領にあわせて、
中国へ石油販売へと販路を広げていきます。
しかし、昭和20年の敗戦により、海外の事業所は全て無くなり、
借金だけが残ってしまいます。
出光佐三氏の人間尊重の方針、そして社員の協力により、
再び命を吹き返し、現在に至るのです。
戦前の荒っぽいやり方が業界の反発に遭い、
出光は石油の販売事業に戻れませんでした。
約1000人の社員を食べさせていくために、
農業経営、醤油、酢の製造、
ラジオの修理など色々な事業を手掛けていました。
そんな中、政府総司令部から旧海軍の燃料タンクに残った
廃油回収作業の指示がありました。
旧海軍でさえ手を付けないような、危険な作業です。
今では到底考えられないような過酷な作業。
当時は、この仕事を確実にやり遂げることこそが、
石油業界に返り咲くための第一歩だったのです。
出光興産は2兆円を超す売上規模の会社でありながら、
2000年に増資をするまではたった10億円という、
決算書の成績でいうと、決してOKを出せるような金額ではなかったのです。
出光氏の理想は「資本金は?無?とする」ことなのです。
資本金を増やすということは、株主の言うことを聞かなくてはいけなくなる。
資本家(金持ち投資家)の言いなりになって、
搾取されることは決して許されない。
出光氏にとって会社の資本は人であって、お金ではないのです。
人が資本であると考えれば、借金をすることが悪いのではなくて、
お金を借りられないことが悪いのです。
出光氏流で言うならば…
「会社の内容をよくして、いつでも必要なだけ銀行が
お金を貸してくれるならば、借金で十分なのです」
さて、借金はどういう時に必要になるのでしょう。
赤字の時は、借金でその穴埋めをすることは良くあることですが、
儲かっていても、お金は必要になってくるのです。
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