先ほど、今年も公示地価の発表がありました。
驚いたのは、地価上昇率の上位に関東などの大都市ではなく、
北海道や沖縄の地方都市の住所があがっていた事です。
理由は、首都圏の地価が上がりすぎたため、
投資マネーが地方に回っているからだとか。
さらに驚いたのは、地元の地方新聞の記事を読むと、
京都府下の地価上昇率のトップ5、
住宅地の分野に事務所周辺の住所がいくつも載っています。
見渡すと、長く空き家となっていた長屋がゲストハウスになっていたり、
駐車場がなくなり簡易宿泊所として工事の看板が立てられています。
そんな中、地元の大手企業のひとつ下着メーカー大手のワコールは、
4月から宿泊事業に参入します。
最初に京都市左京区の岡崎地区に簡易宿泊所をオープンさせます、
築92年の民家を前面改修して、長期の滞在にも対応しているそうです。
同社では、下着販売以外に主だった事業が育っておらず、
本業依存度が高すぎるといった危機感から、
これからも伸びる可能性が高いとして宿泊事業に白羽の矢が立ちました。
過去には、スポーツカーのライセンス事業や紳士服販売、
フローズンヨーグルト販売などにチャレンジしたそうですが、
いずれも大きく育つことにはなりませんでした。
今回もトレンドに乗った新規事業となります、
うまく軌道に乗せられるか、舵取りに関心が集まります。
ブラジャーを日本に普及させたことで有名なワコールですが、
塚本幸一氏は、その一歩は「行商」から始まったと語っています。
第二次世界大戦終盤、配属された部隊は南方戦線で絶体絶命の攻撃にさらされ、
戦友の多くは命を落としますが、九死に一生で終戦を迎えることができます。
復員して実家に戻ったその日、
生還の挨拶回りに二軒の家に立ち寄ることになります。
その途中、たまたま一方の家人が持っていたアクセサリーを、
もう一方が欲しがっていることを知り、
双方を行き来して取引の仲介をすることになります。
仲介の礼として手数料を手にし、そのことが塚本氏の初商いとなったのです。
食べ物にも困窮する状況であっても、女性にとって身を美しく飾ってくれる、
アクセサリーへの関心は、決して無くなっていない事を感じ取ります。
加えて、アクセサリーが統制品に該当せず、自由に取引できることも知るのです。
早速、次の日からはネックレスやボタン、ハンドバックなどを仕入れては、
大阪や兵庫を歩き回り、洋装品店や化粧品店を見つけては飛び込み、
売り歩く日々が始まるのです。
仕入れては売り、売っては仕入れる、「行商」の始まりでした。
アクセサリーや雑貨の行商を続けて、買主の希望を聞いているうちに、
女性が欲しがっているものや、関心が何処にあるかが、
つぶさにわかりようになります。
戦後、服装の洋装化が進むにつれて、女性の悩みも生まれてきます。
それまで、胸を美しく見せるという習慣がなかった日本では、
女性の胸の位置が低く、洋服が美しく着こなせなかったのです。
このことに気づいた塚本氏が日本人向けに改良したのが、ブラジャーだったのです。
商才というものが、実際にあるかどうかはわかりませんが、
経営に長けた人物には、無意識に人の欲しているものや、
喜ぶことがわかる感性を持っている人がいます。
塚本氏は、ほんの些細なきっかけから、
女性が心の奥にしまっていた関心を、ひとつの形に作り上げ、
大きなビジネスにつなげていったのです。
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