奇抜さで目を惹くより、満足してもらうのが大事

 奇抜な経歴や奇想天外なキャラクターを持つ講師が人気を集め、
 ほとんどタレント事務所化している大手の受験予備校や学習塾。
 あらゆることに敏感な年代が対象だから、しかたないとはいえ、
 もう少し勉強の本質に迫ってもらいたいものです。

 さて、週明けに飛び込んできた、
 大手予備校「代々木ゼミナール」の事業縮小のニュース。
 少子化によって、受験生や浪人生が相対的に少なくなる中、
 同業者間の競争が激しくなっているのはご存知のとおりです。

 全国にある27校のうち大都市圏中心に残し、
 大部分の校舎は閉鎖して生き残りを図ろうというもの。
 後々、詳細がわかってくるでしょうが、ここまでの規模とは、
 その奥に潜んでいるのは何かと疑わずにはいれません。

 関西を中心に、学習塾のフランチャイズチェーン(FC)を展開する、
 関塾の創業者 田部井昌子氏は、若い時から商才に長けていました。
 子供の学資を捻出するため、内職感覚で創めた学習塾ですが、
 お客様の気持ちを第一に考えるという信念のもと、
 当時では珍しかったFCというスタイルを学習塾に持ち込んだのです。

 夫は大手家電メーカーの特約店を営んでいましたが、
 メーカー側の特約店増加政策と折からのオイルショックよる不況で、
 お客は減っていくばかりでした。
 収入の目減りの手当てとして考えたのが、
 文化住宅の一間での学習塾で副収入を得ることでした。

 それまでにも、田部井氏は夫の営む電器店の手伝う中で、
 いくつものビジネスのアイデアを生み出します。
 テレビが普及し始めた時のことです、
 月給の何倍もするほど高価だった時代、

 少しでも買ってもらい易くするためのアイデア。
 ひとつは、独自でローンの形態を作ることです、
 メーカーには内緒で、20回の分割で販売したのです。

 もうひとつは、お試し作戦です。
 ここと思うお客様のところへ、新品のテレビを置いていくのです。
 「3日後に引き取りにくるから、好きなだけ見てくれたらいい」
 と言って帰る訳ですが、
 いざ引き取りに行くと、「もう、このまま置いていって」となるのです。

 他の電器店に比べて余りにも販売台数が多いので、
 メーカーから確認に来るほど売上が上がったそうです。
 競争の激しい現在からすると、当然の事かもしれませんが、
 50年近く前に、このような発想を持つことは珍しかったのです。

 塾経営が難しいとされるのは、サービスを受けるのが子供で、
 料金を支払うのが親であり、両者を同時に満足させる必要があるからです。
 相手は生身の人間、感情ひとつでやる気が出てくることもあれば、
 その逆も然りなのです。

 どうしても、「もの」を売ることをビジネスと考えてしまいがちですが、
 「満足」してもらえる一番の方法はなにかと考えることで
 成功へ近づくのではないでしょうか。

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