瞳の色に関係なく、魂は受け継がれていく

 うがい薬の定番「イソジン」の販売元が、
 今年4月から塩野義製薬に移ることをご存知でしょうか。
 なにより、幅広い年代で利用されていた薬が、
 いわゆるライセンス品だったことに医薬品販売の複雑さを感じます。

 その昔、皮膚薬「メンソレータム」の販売元が、
 ロート製薬に引き継がれたときの事を思い出します。
 医薬品のように、安心・安全が強く求められるような商品については、
 ブランドイメージはとても重要で、
 大切に培われたブランドはとてつもない価値を秘めています。

 その後ロート製薬は、「メンソレータム」ブランドの新商品を相次いで開発し、
 今では150品目にも及び国内売上の4分の1を占める程に成長しています。
 そんな「メンソレータム」が、国内に広く知られるようになったのは、
 一人のアメリカ人建築家の活動が大きく影響しています

 キリスト教の伝道のため、ヴォーリズ氏は日本にやって来ます。
 近江八幡の商業学校の英語教師に就いたことがきっかけで、
 その後、同市の発展に深く貢献することになるのです。

 彼は、教会の建築資金の得るため、
 かねてから心得のある、建築の道に足を踏み入れます。
 建築事務所を設立し、教会やキリスト学校などの設計を、
 次々と請け負っていくのです。
 これらは「ヴォーリズ建築」と呼ばれ、今でも名建築として残っています。

 彼の挑戦はとどまることを知らず、
 アメリカの知人から「メンソレータム」の販売権を譲り受け、
 日本での販売をはじめます。
 新聞を使った大々的な宣伝は見事に的中し、販売網は広がっていきました。

 また、私立の結核療養施設を開設することに始まり、
 幼稚園の開園、図書館の運営など医療、教育、文化事業を手がけますが、
 単に利益を目的としたものではなく、
 その活動を通じてキリスト教精神を実践するものでもあったのです。

 夢のような理想を追いかけたり、
 周りからの寄付頼みの運営をするのではなく、
 事業と伝道活動を見事に両立させた手腕は見事であります。

 近江商人の心がけ「買い手良し、世間良し、売り手良し」の
 「三方良し」の理念は、海を渡り日本にやって着た、
 青い目の青年によって受け継がれるようになります。

 「三方良し」の考えを、経営の言葉に置き換えると、
 「顧客が満足し、それが評判になり、利益が残る」が循環繰り返されることです。
 がむしゃらに、事業を進めている最中には、
 なによりも先に、自分のことを考えてしまうのは当然の事です。

 それに、きれいごとを言っていては、生き残れないのも現実です。
 しかし、これまでのやり方が上手くいかず、チョット変、
 行き詰っていると感じたら、少し立ち止まって、
 「三方良し」の善循環を見直してみるのもいいのではないでしょうか。

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