経営安定化の第一歩は「日銭」稼ぎ

 若い世代の情報入手の手段が、テレビやラジオなどから、
 スマホ経由での動画や自動配信に移る中、
 地元中心の話題やマニアックな内容を提供する
 コミュニティ・ラジオに人気が集まっているそうです。

 コミュニティ放送局は、2010年以降毎年10局程度が増加して、
 15年には300局に迫る勢いです。
 スマホ経由でラジオ放送が聞けるサービス「ラジコ」が浸透し、
 ラジオ放送の聴き方が変化したことも追い風となっているそうです。

 反面、大手放送局でも経営の舵取りが難しい時代。
 規模が小さいコミュニティ・ラジオが、
 一時のブームではなく、広告料等の収入で資金を確保して、
 経営を維持していける工夫ができるかが鍵となりそうです。

 世紀の発明家として称された盛田昭夫氏は、
 ソニーの創業者の一人として、トランジスタ・ラジオを開発して、
 ラジオを劇的な小型にすることに成功します。
 このことで、人々に新鮮な情報に触れる喜びをもたらしたのですが、
 黎明期には開発費の捻出には随分苦労し、頭を悩まされたのでした。

 研究開発に莫大な支出が必要なことから、
 資金繰りに関しては銀行に頼りきってばかりでした。
 しかし、銀行も貸し出す資金に余裕が無く、
 満足できるような額の借入れが出来ない状態が続いていたのです。 

 創立15周年を前にし、当時副社長であった盛田昭夫氏の耳に入ってきたのは、
 アメリカで株式を発行して資金を調達できるというものでした。
 日本の株式を預託証券という別の形にして、
 アメリカで売買出来るようにする新しい試みだったのです。

 その第一号に選ばれて、喜んでいたのも束の間、
 日本とアメリカの会計処理のギャップに頭を悩まされることになります。
 当時の日本では、公開企業でも決算の計算について
 「利益を平準化」することを、疑問をもたず行っていました。
 つまり、業績がなだらかな右肩上がりになるように、
 経費にする金額を多くしたり少なくしたりする調整を行っていたのです。

 ところが、アメリカの会計基準に合わせようとすると、
 そういうことは一切認められなくなるし、将来発生する見込みのあるものは、
 経費として全額計上しなくてはならないと言うのです。
 また、連結決算という概念を聞いたのもその時が始めてでした。

 このことは、今回の損失処理にも関連する、
 「投資」という支出に対する考え方の違いです。
 研究に携わる側にとってみれば、将来、何十倍、何百倍という、
 膨大な利益をもたらしてくれる、価値ある資産のはずです。

 一方、投資家の立場からすると、海のものとも山のものともわからない会社、
 成功しなければ、単なるお金の無駄遣いとなります。
 運良く成功まで辿りつけても、安い金額で同業が提供してしまえば、
 こちらには利益が残る確証はないのです。

 「一発屋」的な発想でビジネスを行うならともかく、
 そうでなくても着実に経営を続けられるようにするには、
 資金の回収をどのようにするか頭に描いておかなければいけません。
 こんな時、たとえ少なくても、毎日欠かさず入ってくる
 「日銭」が経営のカギとなります。

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