会社には、大なり小なり、それぞれ違った習慣や文化が根付いています。
経営者は、格好良く「哲学」なんて言ったりしますが、
このことが社員の行動に、強いては業績に大きな影響を与えることになります。
「○○の常識は、□□の非常識」のような表現をされることがありますが、
いい面に出れば、それは会社の強さとなり、
逆の場合は不正や事故などが発生することになります。
競争力を保ちつつも、世間とズレが生じないようバランスをとることが大切です。
自動車メーカーのホンダの工場では、
全世界共通で白い作業服を着用しているそうです。
クルマづくりは、命をあずかる仕事。
白衣をまとい、人の命を守るお医者さんと同じ気持ちで、
クルマをつくる考えでそうしているのです。
だから、みんな白い作業服を汚さないように、
注意して仕事をしているそうです。
おかげで社員食堂では、汁が飛び散る「カレーうどん」は要注意、
休日前の、金曜日にしかメニューに載らないのだとか。
今では想像もできないことですが、民間放送が開始されるまでは、
広告業というものは、社会的に軽視される立場でした。
当時、広告業は通信会社の一部門であり、
情勢を報道する通信部門の役割とは比べ物にならない程、
付随的なものと扱われていました。
広告媒体は新聞であり、その広告を取り次ぐのが広告代理店の役割だったのです。
新聞業界自体の社会的地位もそんなに高いものではなく、
その広告を取次ぎに回る営業マンは「ゆすり、たかり」と
同様の扱いをされることもあったのです。
玄関には「広告お断り」と張り紙が、また「広告屋は勝手口」からしか
出入りを許されませんでした。
そんな、屈辱的な時代を体験してきた電通4代目社長の吉田秀雄氏は、
広告業界の地位向上のため「鬼」となり、全精力を注いでゆくのです。
吉田氏は、自ら「広告の鬼」となり、社員にゲキ(檄)を飛ばし続けます。
新年の挨拶をまとめたもの、社員への忠告、業務を指示するもの、
それはB4の用紙や全紙に書かれ、白地だけでなく色つきの用紙が使われ
社員に配られました。
有名なものには、1951年に全社員に配った「鬼十則」があります。
ごく簡単に紹介しますが、ここに書かれた「仕事」と言う言葉を、
「ビジネス」「経営」と読み替えていただければ、
今なお新しい、経営の手引書となるのではないでしょうか。
一、仕事は自ら創る
二、仕事は先手先手と働きかける
三、大きな仕事と取り組め
四、難しい仕事を狙え
五、取り組んだら放すな
六、周囲を引きずり回せ
七、計画を持て
八、自信を持て
九、頭は常に全回転
十、摩擦を怖れるな
泥沼から世界トップの広告代理店まで、登りつめさせた吉田氏の
「鬼」になるための十則。
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