聞き馴染みのない言葉、BOPビジネス。
途上国の貧困層に向けたビジネスを指すのですが、
ボランティアや慈善とは一線を隔し、決して「非営利」ではなく、
商品が選ばれる、究極のビジネスの形が隠されていそうです。
ナイジェリアで、味の素が手がけているBOPビジネスは、
苦難の道のりを乗り越え、
100億円を超えるビジネスとして成長を遂げているそうです。
この結果は、公的援助や非営利団体が陥りやすい理念の押し売りでなく、
相手が求めている商品(サービス)を提供できている証といえます。
味の素は二人の理念が合致して生まれた新しい商品です。
うまみ成分を発見した池田菊苗博士の、
「単なる科学の発見ではなく、世の中に役に立つようにしたい」
鈴木三郎助氏の「国民の栄養不良を矯救し、日本人の体位向上に貢献したい」
という思いから商品化がスタートします。
ヨード製品の製造を手がけていた実業家、鈴木三郎助氏のもとに、
昆布から抽出したうまみ成分による事業の話が持ち込まれたのです。
しかし、今までに無い未知の製品であることに加えて、
商品化までに多額の研究費用と販売経費がかかることが予想されます。
米などの投機相場から足を洗い、ヨード製造の事業も軌道に乗り、
順調に事が運んでいた最中だったのです。
新しい事業に手を出し、積み上げてきたものが無くなる不安が頭をよぎります。
何よりも、事業化するにはいくつか解決しなければならない問題があったのです。
製造については、昆布から抽出されるうまみ成分のグルタミン酸はわずかでしたが、
小麦タンパクには多くのグルタミン酸が含まれることがわかり。
原料に小麦粉を使うことによって、
安くて大量生産できることが可能になったのです。
商品化するとなれば、グルタミン酸ナトリウムが調味料として
一般大衆に受け入れられるのかどうかが大事です。
東京の有名な料理店に頼み試用してもらったり、試食会を開きました。
何より、連載小説『食道楽』の作者で食通として名高い、
村井弦斎がこの調味料を高く評価したことが大きな自信に繋がります。
販売を開始してからも、最初は全く売れませんでした。
当時の製品は不純物をとりきれず、色や匂いも良いとは言えなかったのですが、
「原料に蛇が使われている」というデマが流されることがあったり、
順調に売上が伸びるまでには、大変苦労したのでした。
経営者にとって、事業に対する理念を持つことは大変重要なことですが、
その理念が一方的な押し売りではビジネスとして成り立ちません。
第一にお客様に喜ばれること、次に経営として成り立つことが必要です。
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発 行 元:シモヤマ会計事務所(下山弘一税理士事務所)
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