過去の勢いとは裏腹に、売上の縮小に歯止めがかからない百貨店業界。
各社、鉄道の主要駅に隣接する旗艦店が他の店舗の不振を補う形で、
かろうじて経営を維持している状態が続いています。
西武とそごうが先陣を切り、独自路線を断念し経営統合に走ったのは、
まだまだ、記憶に新しいところです。
その後、阪急と阪神、大丸と松坂屋、三越と伊勢丹と、
経営統合や持株会社化が続き規模の拡大を図ります。
しかし、経営統合等から10数年が経とうとしていますが、
回復の兆しは程遠く、小規模店や地方店などリストラが続きます。
最大手の三越伊勢丹HDは、すでに三越を中心に閉店し、
9月に伊勢丹相模原店が29年の歴史に幕を降ろしたばかりです。
また、セブン&アイHD傘下の西武・そごうも、
すでに数多くの店舗のリストラを進めてきました。
ここにきて、西武大津店などの5店舗の撤退を発表しました。
様々な仕掛けで、人々を「あっ」といわせてきた百貨店ですが、
二進も三進もいかない状態は、いつまで続くのか。
「眼鏡を見に来ただけのお客様が、500万円の買い物をしていった」
歴史の長い三越ではたくさんの上得意の顧客をかかえていて、
こんなエピソードもあるほどです。
明治の訪れと共に日本に入ってきた西洋文化にのって、
呉服商が洋服や化粧品、バックなどの輸入品を扱い始めたことから、
百貨店として発達します。
それまで、呉服の販売で馴染みにしていただいていた
地元の財界人や地方の地主などの人脈を頼りに、高級品を売り込みに廻ります。
百貨店の老舗、三越ではいち早く、産業形態の変化により
新しく生まれてきた、都市部の富裕層にたいして、新しい試みを始めます。
日本橋本店を、西洋建築方式の建物に建替え、玄関の外観を英国風にし、
休憩室や食堂はフランス風の内装にして、イタリヤ調の家具を揃えました。
まるで、社交界のサロンと見間違えるほどの内装で誂えました。
加えて、買った商品は馬車を仕立てて自宅まで届けたり、
また英国風の制服を着た少年が自転車に乗って届けるといった、
お客の優越感をくすぐるサービスを次々と考え出したのです。
呉服店から発展した百貨店とは一線を画する、
ターミナルデパートという新しい発想で百貨店を作ったのは
阪急グループの創業者 小林一三氏です。
その第一号店となる梅田の阪急百貨店をオープンするに際して考えたのは
どのようにお客様に来てもらえるかということでした。
そこで、一階には雑誌、雑貨、食料品を扱う知名度のある店をテナントに入れ、
二階以上を自らの運営としました。
最初に力を注いだのが、最上階の大食堂です。
ここのカレーライスは、本格的なカレーを庶民でも手が出る価格で
味わえるということで人気を集め名物メニューとなったのです。
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