今年、流行るだろうと予想される商品のひとつに、
「コンビニ・ドーナツ」が挙げられているそうです。
あっという間に広がった、自家製コーヒーの勢いにあやかれと、
コンビニ各社は入り口近くに据えられたコーヒーサーバの近くに、
パンや焼き菓子の棚を配置して、「ついで買い」を誘っています。
その中で、コーヒーに合い値段も手ごろな商品がドーナツだというのです。
コーヒー・チェーン店のセルフ式に慣れ親しんだ年代からすると、
サンドウィッチや焼き菓子、スイーツもひと通り揃っているのですから、
腰掛けるスペースさえあれば、店が違ってもお構いなしと言ったところでしょうか。
コンピニ・コーヒー人気のあおりを受けて、
セルフ式の先駆けである、コーヒー・チェーン各社も、
指をくわえて見ているだけではありません。
セルフ式のチェーン大手のドトールコーヒーでは、
外食業の日本レストランシステムと手を組んで、
フルサービスのコーヒーショップ展開に力を注いでいます。
ドトールコーヒーのセルフ提供のスタイルは、
ヨーロッパのカフェが見本となっています。
パリのカフェでの出来事です、地下鉄から出てきた通勤客たちは、
カフェのカウンターで、珈琲を立って飲んでいます。
店内を見渡すと満席というわけでなく、テーブル席は空いているのです。
不思議に思いメニューを見ると、テーブル席は2倍、
テラスは3倍と値段が違っていたのです。
帰国後、創業者の鳥羽博道氏は、それまでの薄暗い喫茶店のイメージを払拭して、
明るくて誰でも出入りできる喫茶チェーンを展開します。
そして80年に、日本最初の立ち飲みコーヒーショップ
「ドトール」をオープンしたのです。
ショップでは、毎日飲んでもらうことができるように、
一杯の値段を普通の喫茶店の半額の150円にしました。
その代わり、店には全自動のコーヒーマシンや自動洗浄機を置き、
人手をかけずに、利益が残るように工夫したのです。
セルフサービスといえば、省力(省人)化することと思われがちです。
確かに経営的には、省力化はとても魅力のあることで、
その部分に力点を置いてセルフサービスが推し進められてきたことも事実です。
しかし、セルフサービスを「サービスをしない」と単純に考えることは危険です。
大切なのは、お客様が自由に商品を選び、気軽に購入出来ることです。
そのためには、そのニーズを先読みして、
選びやすいように商品を揃えておく必要があるのです。
ただ単に、商品を並べておくのではなく、
お客様がその良し悪しを見分けることができる様に工夫をすることです。
購入しやすい金額はいくらなのか、利用しやすい量はどれくらいか、
どのように詰め合わせれば魅力的に見えるかなど、研究すべき点はいっぱいです。
こうして気軽に立ち寄ってもらえるようになることで、来店回数が多くなり、
結果的に購入金額はフルサービスと比べて変わらないものとなるのです。