真剣に向かい合えばヒットの芽が見えてくる

 栄養価が高いことを称して、「トマトが赤くなると医者が青くなる」といわれます。
 育ち盛りのお子様がいらっしゃる家庭では、毎日でも食べたいところですが、
 このところチョット高めなのが気になるところです。

 今年2月に、メタボ対策に効果があるという研究発表されたことがきっかけで、
 ジュースなどの需要が高まり、品薄になっていることが理由だそうです。
 5月上旬の卸値は、前年に比べて6割も高くなっているらしい。

 国内のシェアの70%を占めていて、
 店頭でよく目にするのが「桃太郎」トマトです。
 それまでは、完熟前に収穫して出荷されていたものを、
 完熟してから出荷できるように改良したこの品種を開発したのは、
 京都にある種苗会社のタキイ種苗です。

 高度成長期を迎えた日本では、「トマトがまずくなった」と噂され、
 新聞や雑誌でも取り上げられ始めていました。
 消費地である都市から産地が離れていくにつれ、トマトは果実が青い段階で収穫され、
 輸送の途中で赤く色づかせるようになっていたからです。

 「桃太郎」の開発は、1970年代に遡ります。
 それまでも完熟したトマトはありましたが、赤い色が理由で、
 加工用のトマトだと感じられ人気がありませんでした。
 そこで、採りたての甘さと、輸送に耐えられる硬さ、
 加えて色がピンクであることを目指して開発が始められます。

 品種開発には途方もない年月がかかります。
 1年に2回栽培をしても結果が分かるのは半年後、
 上手くいかなければ、再び組合せをやり直すことになるのです。
 開発を始めて6年目、思い通り硬さの実を作ることにたどり着きます。

 さらに3年後、やっと理想に近いトマトができあがりますが、
 果実の硬さ、形の崩れないぎりぎりの肉厚、糖度6度以上、
 均一に熟していくこと、酸度とアミノ酸の含量など、
 製品となるには更に交配を繰り返すことになります。

 ようやく、完成したのが83年、
 長い歳月をかけた新しい品種が日の目を見ることになります。
 「フルーツ感覚の名前にしたい」という思いから「桃太郎」と名づけられることに。
 会社としては、それまでにはない規模の予算を使い、
 生産者や種苗店、農協などの関係者に対して大々的にプロモーションを行い、
 その名を一気に広めたのです。

 このように、ヒット商品の開発には、長い時間を要するものです、
 また、結果的に目指した商品にたどり着かない場合も、よくあります。
 会社を成長させるには、広い意味でヒット商品を持つことだといえますが、
 多額の費用を使い、闇雲に開発を続けていては、ビジネスとして成り立ちません。

 これだと思った対象に開発を仕掛けたなら、その結果にヒットの芽があるのか、
 完成の光が潜んでいるのかを、出来るだけ早く見極めるようにしなければいけません。
 真剣に取り組んでいると、成長の見込みがあるもの、
 自らの力でたどり着けるものには、必ずその兆しを感じ取れるものです。

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