将来のお客様に見せても、恥ずかしくないように

 海外の俳優やミュージシャンのセレブな生活の一例として、
 ヨーロッパの古いお城を買取り、余暇を優雅に過ごしているということが、
 お昼のワイドショーで紹介されています。

 日本でも、洋館を舞台にしたドラマがたくさん作られていることからしても、
 お金持ちの住まいとして憧れの存在であり、
 誰しも一度はそのようなところに住みたいと思っているのでしょう。

 兵庫県の神戸市は、異人館の町並みをはじめとして、
 今も洋館建築が多く残る地域として全国的にも有名です。
 このほど、神戸市の垂水区に残る旧ジェームス邸が結婚式場として、
 リニューアルされるとして公開されました。

 昭和初期に、外国人貿易商アーネスト・ウィリアム・ジェームス氏が建築し、
 その後、三洋電機の創業者 井植歳男氏の自宅となっていました。
 近年は、同社が買取り迎賓館として使われていましたが、
 会社再建施策の一環でしょうか、土地と敷地の有効活用を模索していたそうです。

 結婚式場の運営会社によると、一般的な客層より少し高めの年代がターゲットで、
 本物志向のニーズが少なからずあるだとうとの目算があるそうです。
 歴史的建築物の価値は年とともに重くなってくるものなので、
 開業に向けて、建築及び改装に4億円、加えて家具や備品に、
 1億円の費用を予定しているということです。

 ドラマを見て憧れるのは簡単ですが、実際住むとなると、
 とてつもないお金が必要となってくるのですね。
 結局、住むのは無理だとしても、「ハレ」の結婚式は、「夢」の洋館で…
 といったところでしょうか。

 この旧ジェームス邸、建築を最初に手がけたのが、総合建築業の竹中工務店です。
 同社は、名古屋で創業するのですが、明治に入り神戸に進出し、
 欧風建築を手がけるようになると、その名が全国に知れ渡るようになります。

 竹中工務店は、織田信長に仕えていた祖先が、信長が自決したのを機に、
 武士を止め、棟梁として生きる道を選んだことからはじます。
 明治に入るまでは、社寺建築を手がけ、
 三重、愛知、滋賀で多くの建築物を残しています。

 同社は、藤右衛門氏が神戸に進出したときを創立1年としています。
 業界屈指の会社でありながら、非上場である会社のひとつですが、
 そのこだわりは、創業者 竹中氏の精神が受け継がれているのでしょう。

 藤右衛門氏は、仕事及び建物について、次のように語っています。

 我々の仕事は、建築業であり建築職である、
 営利だけを追求する建築商であってはいけない。
 私どものやり方は、正しい道を正しく歩んで、信用を第一に重んじることで、
 これによって、得意先が次々と増えていく。
 良いものが出来れば、その建物が客を呼んでくる、広告や宣伝が客を呼ぶのではない。

 また同社は、多くのゼネコンのように公共建築の受注に頼ることをせず、
 民間建築の受注を数多く手がけ、実績を残していることで知られています。
 建物は、建築主の手に渡り、すぐに価値が出てくるものではありません、
 何十年に亘って、その使用に耐え、風雪や災害を乗り越えてこそ、
 その価値が評価されるものです。

 上場する体力があるのに、非上場でいることを、
 皮肉をこめて、「ワンマン経営」「家族主義」「同族経営」などと言ったりします。
 上場しない魅力のひとつは、経営を長い目で計画できることです。
 何十年後の受注の見本となることを目指し、良い建物を作り続けます。

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