ブームになると競争相手が続出!次なる手は…

 低燃費や環境対策をうたう、エコカーが全盛なこの時期に、
 ブームとは逆行するスポーツカーが発売され、好調に販売実績を伸ばしています。
 この車は、トヨタと富士重工業が共同で開発を行い、
 80年代に人気を集めたトヨタの車種を、現代風にアレンジ復活させたものです。

 かつてユーザーであった中高年に、
 もう一度スポーツカーを楽しんでもらいたいという気持ちと、
 車離れした若者に、スポーツカーのかっこよさを
 味わってもらいたいという思惑が、見事的中したようです。

 生産は、専ら富士重工業が行っているそうですが、
 製造を担う工場では、かつて同社のシンボル的車種である
 「サンバー」の製造を行っていました。

 商用車の人気ブランド「サンバー」は61年の発売の人気車種。
 半世紀ものロングセラーであるものの、スバルファンの期待もむなしく、
 撤退の流れを避けることは叶わず、自社生産を終えることになりました。

 他の車種には無い、独特な特徴を持っていることがファンを惹きつけた、
 一因となっていますが、その原型は名車「スバル360」から受継いだものです。
 「スバル360」は、富士重工業が自動車事業に取り組んだ、
 はじめての車であると共に、「軽自動車」というジャンルを生み出した、
 歴史に残るブランドです。

 富士重工業が、自動車事業に参入を決めた当時、大卒の初任給は1万円強でした。
 市場に出回っている自動車は、国産はトヨタ自動車のトヨペットやクラウン、
 外国メーカーのライセンス生産している日産、日野、いすゞだけでした。

 どれも100万円を超える価格で、
 サラリーマンが簡単に手を出せるものではありませんでした。
 大衆車を目指し、50万円を切る価格で登場したのが「スバル360」だったのです。

 敗戦を期に、航空機からの転換を強いられた富士重工業が、
 航空機の技術や設計発想をふんだんに採用して作り上げた会心の作。
 「サンバー」にも、リアエンジン・リアドライブの駆動方式やフレーム構造、
 四輪独立懸架が受け継がれています。

 人気車両であり、象徴的な事業である軽自動車の生産からも撤退し、
 スポーツカーの生産に切り替える。
 正気の沙汰とは考えにくいことですが、
 それにはトップグループに仲間入りできない自動車メーカーの決断がありました。

 現在、軽自動車の人気は高く、新車の4割近くを軽自動車が占めています。
 それゆえ、各社が新型車の開発に力を注ぎ、品揃えを充実させているため、
 会社間の競争は激しくなるばかりです。

 一方、価格が安いため利幅が薄く、開発コストに比べて、
 1台あたりの利益は少ないという現実に直面していました。
 また、同社の生産に占める軽自動車の割合は1割強しかなく、
 シェアからしても、軽自動車まで独自で開発するのは重い負担になっていました。

 そこで、独自性が保てる、人気車種にエネルギーを集中して、
 その分野だけは、競合他社に立ち入る隙を見せない。
 (他と比べて)小さな企業のスタンス(立ち位置)に徹する、
 こうすることによって、生きる道を確保できることになるのです。

カテゴリー: 未分類   パーマリンク

コメントは受け付けていません。

税務・会計のご相談初回30分無料 075-813-4850 営業時間9時~18時(土・日・祝日を除く) お問合せフォーム