「拡張型」「コンパクト」あなたは、どちらを選ぶ

 ある記事を読んで、自らのことを振り返ってみると、
 ここ何年も(CD・DVD)レンタル・ショップに、
 足を運んでないことに気づきます。

 音楽の方に興味があるので、借りるのは専らCDの方でしたが、
 最近は、気になる曲が試聴できるホームページを探し、
 曲の良し悪しを品定め。

 気に入ったなら、CDを買うのか、ダウンロードで済ますのか選びます。
 買うことに決めたなら通販サイトに移動し、最安値を探して購入。
 中古CDも多く出回っているので、録音や返す手間を考えれば買ったほうが、
 楽な場合も結構あります。

 レンタル・ショップ大手のTSUTAYAでは、
 20歳代では人口の70%近くが会員となっているのに対し、
 60歳代の会員率は20%にも満たないそうです。
 かつてのヘビー・ユーザーであった会員は、
 年齢と共に足が遠のいていったということでしょうか。

 音楽好きの若者や、少ない小遣いで最大限に欲求を満たそうとする学生の人気で、
 レンタルレコード店は街中に一気に広がりました。
 駅前近くの雑居ビルの上部階に店を構え、穴場的な雰囲気のスタイルが主流で、
 そんな中の一つが、現在のTSUTAYAであったのです。

 サラリーマンをしていた増田宗昭氏が、噂を聞きつけて大阪の枚方市で
 レンタルレコード店をオープンしたのは82年のことでした。
 姉が喫茶店を始めるというので、それなら今流行のレンタルレコード店を
 一緒にしてはどうかと提案したのがきっかけでした。

 オープン当初からの思いもよらない繁盛ぶりに驚いたのは、
 誰よりも本人の方でした。
 そんな気持ちに酔いしれているのも束の間、
 すぐに不安が頭をよぎります。

 こんなに儲かる商売なら、すぐにみんなが手を出すはずだ、
 今のようなちっぽけな店なら、ライバルが出てきたらひとたまりも無い。
 本気でビジネスをしようと考えた増田氏は会社を辞め、
 今の店から見て、駅の反対側に店を出すことを決意します。

 いざ計画してみると、本格的な店を作るとなると
 6000万円位お金が必要なことがわかります。
 不足する資金は銀行から借りることになるのですが、
 ここで自らの事業計画と資金の返済方法を見つめなおすことになるのです。

 成長の見込みはあるけれども、海のものとも山のものともわからない商売、
 仮に売上がゼロであっても、人件費や家賃の支払いが出来て、
 返済も出来るにはどうしたらいいかを考えます。
 店の立地、周辺の客層、品揃え、販促方法など綿密に調査したのです、
 サラリーマン時代に店舗の開発をしていたことが役に立つことになります。

 TSUTAYAを営むCCC(カルチャー・コンビニエンス・クラブ)が、
 株式市場から上場廃止して、1年が経ちます。
 儲けの割に、数々の規制や投資家に対する対策が必要となる上場運営に、
 嫌気が差して、銀行と組んで株式を買い戻したのが1年前。

 背負った借金は、約1000億円。
 配当の負担がなくなったことや、減資を行うなど節税策に取り組み、
 既に150億円は返済済みだそうです。

 これまでとは違い、株主総会の度にある、突き上げを気にすることなく、
 最終返済期限は7年後、業績回復の猶予期間は充分にあることになります。
 目指す規模の大小にかかわらず、上場企業や上場を目指す企業と、
 そうでない企業の経営スタンスには、根本的な違いが生まれています。

 上場企業は拡張型経営、
 毎期ごと売上の拡大に加えて利益の増大が宿命とされます。
 文字通り、「右肩上がり」の業績になることが求められるのです。
 どんどんお金を使って投資し、短期のリターンにすがることになります。

 一方、そうでない企業は、コンパクトな経営を心がけます。
 無駄な投資はせず、コツコツとお金を貯め、
 必要であれば、上場企業顔負けの投資を行い、
 高いリターンを得ることができるのです。
 お金は、使う時と場所を選んでこそ生きてくるのです。

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