多くの立場から、満足を得てからこそ…

 卒業を控えた小中学生をお持ちの親御様にとって、
 お子様の進学先で頭を悩ませる季節となりました。
 市内の私立の中学、高校も、来春の新入生向けに保護者説明会が開催され、
 金曜日の夜には、父親や働く母親向けに時間を設定する学校も多いそうです。

 私立学校が力を注ぐ理由は、少子化に加えて、景気の悪化の影響もあり、
 公立志向が強まっていることが背景にあります。
 ある調査によると、学校が集中する首都圏の私立中高一貫校では、
 女子校を中心に3分の1が定員割れになっているそうです。

 各校、趣向を凝らし参加者を募りますが、
 見栄えを良くして、一時的に生徒を集めることができても、
 卒業時に結果を出せなければ、結果的に自分の首を締めることになりかねません。

 「サービス」という言葉で言い尽くせない教育業の特殊性を、
 どのように上手くビジネスと共存させられるかが、
 3年後、6年後に選ばれるかどうかの分かれ目と言えるでしょう。

 関西を中心に、学習塾のフランチャイズチェーン(FC)を展開する、
 関塾の創業者 田部井昌子氏は、若い時から商才に長けていました。
 子供の学資を捻出するため、内職感覚で創めた学習塾ですが、
 お客様の気持ちを第一に考えるという信念のもと、
 当時では珍しかったFCというスタイルを学習塾に持ち込んだのです。

 夫は大手家電メーカーの特約店を営んでいましたが、
 メーカー側の特約店増加政策と折からのオイルショックよる不況で、
 お客は減っていくばかりでした。
 収入の目減りの手当てとして考えたのが、
 文化住宅の一間での学習塾で副収入を得ることでした。

 それまでにも、田部井氏は夫の営む電器店の手伝う中で、
 いくつものビジネスのアイデアを生み出します。
 テレビが普及し始めた時のことです、
 月給の何倍もするほど高価だった時代、

 少しでも買ってもらい易くするためのアイデア。
 ひとつは、独自でローンの形態を作ることです、
 メーカーには内緒で、20回の分割で販売したのです。

 もうひとつは、お試し作戦です。
 ここと思うお客様のところへ、新品のテレビを置いていくのです。
 「3日後に引き取りにくるから、好きなだけ見てくれたらいい」
 と言って帰る訳ですが、
 いざ引き取りに行くと、「もう、このまま置いていって」となるのです。

 他の電器店に比べて余りにも販売台数が多いので、
 メーカーから確認に来るほど売上が上がったそうです。
 競争の激しい現在からすると、当然の事かもしれませんが、
 40年以上前に、このような発想を持つことは珍しかったのです。

 教育業が難しいとされるのは、サービスを受けるのが子供で、
 料金を支払うのが親であり、両者を同時に満足させる必要があるからです。
 相手は生身の人間、感情ひとつでやる気が出てくることもあれば、
 その逆も然りなのです。

 どうしても、「もの」を売ることをビジネスと考えてしまいがちですが、
 「満足」してもらえる一番の方法はなにかと考えることで
 成功へ近づくのではないでしょうか。

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