先月末、大阪梅田の阪急本店(うめだ本店)が増床し一部オープンをしました。
「劇場型」と謳う店内は、そこここに新しい試みを取り入れ、
新しいスタイルの店舗を目指しているそうです。
05年の立替工事開始から、足掛け7年、本格稼動は目前です。
今や、隆盛を誇った百貨店の輝きは色あせ、
客足はファスト・ファッションやネットショップに奪われるばかり。
頼みの綱は、同業種や小売業との経営統合で、効率化を進め延命を図るだけ。
来店客に、愉しさを提供するところまで、手が回りません。
規模は関西地区で最大級、大阪北地区のターミナルに立地するうめだ本店、
その好条件を生かし集客に挑みます。
目玉となるのは、イベントスペースの充実です。
9階には大規模イベントスペースを構え、各階にもスペースを設け、
年間通してイベントを開催します。
また、800席のカフェを用意して、館内でくつろぐ時間を増やしてもらいます。
かつて、百貨店は様々な仕掛けで、人々を「あっ」といわせてきました。
最新流行のファッションの提供とあわせて、
海外、国内文化を紹介する催しを積極的に行ってきました。
また、お子様ランチや屋上遊園地で、
子供たちに「夢」を体験させてくれる大切な場所でありました。
明治の訪れと共に日本に入ってきた西洋文化の波に乗り、
呉服商が洋服や化粧品、バックなどの輸入品を扱い始め、百貨店として発達します。
呉服の販売で馴染みとなっていた、
地元の財界人や地方の地主などの人脈を頼りに、高級品を売り込みに廻ります。
百貨店の老舗、三越ではいち早く、産業形態の変化により
新しく生まれてきた、都市部の富裕層にたいして、新しい試みを始めます。
日本橋本店を、西洋建築方式の建物に建替え、玄関の外観を英国風にし、
休憩室や食堂はフランス風の内装にして、イタリヤ調の家具を揃えました。
まるで、社交界のサロンと見間違えるほどの内装で誂えました。
加えて、買った商品は馬車を仕立てて自宅まで届けたり、
また英国風の制服を着た少年が自転車に乗って届けるといった、
お客の優越感をくすぐるサービスを次々と考え出したのです。
また、呉服店から発展した百貨店とは一線を画する、
ターミナルデパートという新しい発想で百貨店を作ったのは
阪急グループの創業者 小林一三氏です。
その第一号店となる梅田の阪急百貨店をオープンするに際して考えたのは
どのようにお客様に来てもらえるかということでした。
そこで、一階には雑誌、雑貨、食料品を扱う知名度のある店をテナントに入れ、
二階以上を自らの運営としました。
最初に力を注いだのが、最上階の大食堂です。
ここのカレーライスは、本格的なカレーを庶民でも手が出る価格で
味わえるということで人気を集め名物メニューとなったのです。