「隠居の道楽」本気を目指す

 毎年、サラリーマン生活に別れを告げた多くのお父様方が、
 シニアの仲間入りをされています。
 忙しさから解放され、夫婦揃って海外旅行に出かけ余暇を満喫する方、
 寝食を忘れて趣味に没頭する方など様々なようです。

 現シニア世代では、生まれ育った地に恩返しをしようと、
 故郷に戻り農業や漁業の道に進む方も多いのではないでしょうか。

 自ら創業した会社を、有名企業に育て上げた実業家の中には、
 第一線を退いた後も、「第二の創業」とばかりに、
 精力的に事業に取り組んでいる方が居られます。

 昨年9月に1号点がオープンし、立ち飲み高級フレンチとして話題になった、
 俺のフレンチ・俺のイタリアンを運営するのは、
 中古本販売ブックオフの創業者 坂本孝氏です。

 同店は高級食材を使ったフランス、イタリア料理を、
 立ち飲み形式で提供することにより、破格の値段を可能にしています。
 そこに潜んでいるのは、効率化の発想でした。

 原価の高い食材を安値で提供するとなると、当然利潤が薄くなります。
 それなら、高級レストランであれば一晩一巡しかしない席(客数)を、
 何倍にもしてしまえば良いじゃないかと考えました。
 こうして行き着いたのが、立ち飲みスタイルだったのです。

 坂本氏が古本に目をつけたのは、1990年の春のことでした。
 たまたま通りかかった商店街で目にした光景は、本に群がる黒山の人だかり。
 よく見ると、コミック本の古本の山に若者が我先に争って手にとっていました。

 定価の何分の一で売りに出された、コミック本はあっという間に売れて、
 店主の手元に置かれた、かごの中にはお金が溜まっていったのです。
 中古のコミック本には、昔ながらの「古書」というイメージはまったく無く、
 一度読んでしまえば、タダ同然になってしまうのだと感じたのでした。

 このように、若者から若者へコミックを売買し、
 循環させるような仕組みは作れないかと、坂本氏は考えたのです。
 読み終えたコミック本を定価の1割で若者から買い取り、
 リフレッシュした後、定価の半分で売る。

 ただ、仕入れて売るだけ、少し体裁を整えはするものの大きな加工は一切しません。
 それまでは、古本屋の店主の目利きに頼っていた金額の査定を、
 アルバイトでも簡単に出来るようにしたのが、ブックオフでした。

 そんな、ブックオフへ古本を持ち込む若者は、
 読み終えたコミック本や文庫本を何十冊と携えて来店し、
 売ったその代金で、気に入った古本やCDを買って帰るのも珍しくありません。

 ブックオフの場合、お客として買う立場に立ってみると、
 さほど汚れていない古本を半額で手に入れることができ。
 (お客として)売る立場に立ってみると、古紙回収に出せばタダ同然のものが
 定価の1割で引き取ってもらえるのです。

 「薄利であれば、数を稼げばいい」
 この考え方は、ブックオフを始めたときも同じでした。
 「値段」と「数」の掛け算で成り立っています。
 2つのバランスが取れてこそビジネスとして続けていけるのです。

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