先人の勇敢な姿に、元気をもらう

 作家 百田尚樹氏の「海賊とよばれた男」の人気が急上昇しています。
 今年の本屋大賞で大賞を受賞し、注目が集まっていたところでしたが、
 じわじわと人気を上げ、この数週間でランキングトップを果たしています。

 この本は、最近では珍しい、実在の会社、人物を主人公とした小説で、
 出光興産と創業者の出光佐三氏が行った、歴史的事件を題材としています。
 燃料が石炭から石油へ切り替わろうとしている時期、
 国会に貢献するという意志を持ち、石油の供給ルートを確保するため、
 欧米諸国に対して、勇敢に立ち向かう姿が描かれています。

 出光興産は、創業者の出光佐三氏が1911年に北九州の門司で、
 日本石油の特約店として機械油の販売をしたことから始まります。
 その後、漁船への燃料油を足がかりに、日本の海外占領にあわせて、
 中国へ石油販売へと販路を広げていきます。

 しかし、昭和20年の敗戦により、海外の事業所は全て無くなり、
 借金だけが残ってしまいます。
 出光佐三氏の人間尊重の方針、そして社員の協力により、
 再び命を吹き返し、現在に至るのです。

 戦前の荒っぽいやり方が業界の反発に遭い、
 出光は石油の販売事業に戻れませんでした。
 約1000人の社員を食べさせていくために、
 農業経営、醤油、酢の製造、
 ラジオの修理など色々な事業を手掛けていました。

 そんな中、政府総司令部から旧海軍の燃料タンクに残った
 廃油回収作業の指示がありました。
 旧海軍でさえ手を付けないような、危険な作業です。
 今では到底考えられないような過酷な作業。
 当時の、出光興産にとって、確実にやり遂げることこそが、
 石油業界に返り咲くための第一歩だったのです。

 出光興産は2兆円を超す売上規模の会社でありながら、
 2000年に増資をするまではたった10億円という、
 決算書の成績でいうと、決してOKを出せるような金額ではなかったのです。

 出光氏の理想は「資本金は?無?とする」ことなのです。
 資本金を増やすということは、株主の言うことを聞かなくてはいけなくなる。
 資本家(金持ち投資家)の言いなりになって、
 搾取されることは決して許されない。
 出光氏にとって会社の資本は人であって、お金ではないのです。

 人が資本であると考えれば、借金をすることが悪いのではなくて、
 お金を借りられないことが悪いのです。
 出光氏流で言うならば…

 「会社の内容をよくして、いつでも必要なだけ銀行が
 お金を貸してくれるならば、借金で十分なのです」

 さて、借金はどういう時に必要になるのでしょう。
 赤字の時は、借金でその穴埋めをすることは良くあることですが、
 儲かっていても、お金は必要になってくるのです。

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