低迷を続けていたサンリオの業績が、完全復調の兆しを見せています。
その原動力となっているのが、ライセンス料収入の増大です。
旅行先のお土産物売り場で、デザインのご当地ものキティを見かけた方も多いはず、
これらの多くは、サンリオが販売ライセンスを許可した商品なのです。
鉢巻姿でお尻丸出しのデザインが問題となり、
結局、販売中止となってしまったキティ商品の話題を覚えておられるでしょうか。
販売先によるデザイン変更を緩和し、
ライセンス商品を製作できるようにしたことが売上の拡大に繋がっています。
また、スワロフスキー、ウォルマート、H&M、スウォッチ、ネスレなど、
名立たる海外の有名企業とライセンス契約を結び、販路拡大と増益を図っています。
10年に創業50周年の迎えた同社ですが、
ライセンス主体の事業へ舵取りをみせたのは、業績不振がきっかけでした。
90年代に見舞われた、いわゆる株式と不動産投資のバブル崩壊により、
膨大な損失を被ることなり、10年間はその後始末に追われました。
2000年に入り、株式投資やテーマパークの損失の後処理が続く中、
商社と業務提携を結び、再建策を模索していたのです。
この時に、商社の担当者から提案があったのが、
「ライセンス事業を主力してはどうか」ということでした。
当時は、「時期尚早」と展開を見送ったもの、
物販中心の自前販売が足踏みする状況に不安を感じ決断を下したのです。
キャラクター商品を展開するサンリオは、創業者である辻新太郎氏が、
山梨県の特産品である絹製品を扱う会社を立ち上げたことに始まります。
ところが、もくろみは見事にはずれ、借金だけが残ることになってしまいます。
結局、資金繰りに困り、人目構わずお金になりそうなものを売り歩く始末でした。
借金の返済も落ち着きかけた頃、海外からの注文が増えつつあった
ビーチサンダルに目をつけ事業に乗り出すことになります。
それまでのそっけないデザインではつまらないので、
花柄を付けてみたらどうかと試したところ、これが見事なヒットとなります。
また、ある業者の扱っている小物に付いているイチゴの絵が可愛かったので、
雑貨にイチゴのキャラクターを付けたところ大当たり!
勢いに乗り、イラストレーターや漫画家にデザインを依頼して、
これをキャラクターにする商品を販売することを手がけるようになります。
キャラクターを扱うビジネスを行う競争相手がいない時代だったので、
業績は面白いように伸びていきます。
辻氏は、この商売もいずれ同業者が沢山でてくるに違いないと考え、
いち早くオリジナルのキャラクターを生み出すことに力を注ぎ始めます。
人々が好むキャラクターを徹底的に洗い出し、色についても同じです、
そしてたどり着いたのが、赤いリボンを付けた白いネコの姿だったのです。
現在、サンリオは「キティちゃん」で支えられているといっても
過言ではないくらい重要なキャラクターとなりました。
順調に進んでいても、明日がどうなるかわからないのが会社の経営というものです。
良い時もあれば、必ず悪い時がやってきます。
特別な事が起きなければ「会社は潰れない」と思って経営にあたると、
ついつい、お金の使い方が粗くなってしまいます。
辻氏は、同じ事を続けていると「会社は潰れる」ものと発想を切替えて、
経営にあたることが、会社を長続きさせるコツだと語っています。
儲かったときのお金の使い方、何を基準として利益とするか、
利益の追求の仕方など、「潰さない」ための方法を考えることが経営になります。