利益を求めた肥大化は考え物!

 かつてのドル箱であったテレビやデジカメ関連から、
 国内メーカーの事業縮小や撤退が相次いでいます。
 そんな状況の中、消費税の増税が決定し、次なるヒット商品のあてもないまま、
 苦境に立たされているのは家電量販店業界です。

 とてつもない売上規模とは裏腹に、各社とも利益率は数パーセント以下と、
 少しでも舵取りを見誤れば、一気に赤字転落する厳しい経営を続けています。
 そんな立場を優位に保とうと、これまでも業界内で、
 合併や再編が繰り返され、刻々と勢力図が塗り替えられています。

 家電量販店の勢力争いを繰り広げ、
 肩を並べる程に成長した企業にビックカメラがあります。
 創業者 新井隆二氏はDPE(写真現像プリント)業から始めて、
 時代に応じて業態を変化し成長させていきます。

 新井氏がDPE業に関心を持ったのは、学生時代のことでした。
 手許に残る、子供の頃に亡くした母親の写真を、
 大きく引き伸ばしてもらおうと写真店を訪ねたところ、
 「そういうことは出来ない」と断られてしまったのです。
 どうにか出来ないかと独学で調べ、
 苦心の末、望みを実現させたのです。

 第一号店である高崎DPセンターを立ち上げ、
 本格的に写真の現像を始めます。
 相場より3割ほど安くした白黒プリント料金と、
 3時間のスピード仕上げを店の「売り物」としました。
 思ったとおり、順調に注文が入りすぐに採算の合う商売となったのです。

 3年後にはチェーン店が40店に増え、
 地元では写真現像で名前の通る会社となってきた時のことです。
 「年中無休」と「朝10時から夜8時までの営業」を掲げていたため
 どうしても人件費がかさんでいたのです。
 おまけに、各店の巡回に時間を割かれ、
 経営の事を細かく見ることが出来なくなってきたのです。

 周りからは「順調に進んでいるのに、なぜ」と
 不思議に思う声もありましたが、
 思い切って、チェーン店を6店に絞り込むことにしました。
 それと同時に、収益性のあるカメラ販売に経営の主力を移したのです。

 店舗の縮小を終えた直後に、オイルショックの不況がやってきたのです。
 経営をカメラ販売に移行していたことが幸いとなりました。
 その後はご存知のとおり、家電量販店として規模を拡大していくのですが、
 経営を見極める感覚はこの時から研ぎ澄まされていたのでしょう。

 一般的に、設備投資をして利益を回収するまでには、長い時間が掛かるものです。
 経営が赤字なのに、売上を上げるためと称して設備投資にお金を使う。
 この事は、一日でも早くお金の目減りを食い止めないといけないのに、
 決算書の見栄えを良くするために、お金を使うことになります。
 安定した経営には、お金の流れを見ることが大切です。

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