今なお色あせない「もてなしの心」

 20年のオリンピック開催地が東京に決まり、
 首都圏のホテルでは、海外からの観光客やビジネス客を取り込もうと、
 にわかに騒がしくなってきています。

 各ホテルは趣向を凝らし、独自性をアピールするのに工夫をしています。
 なんといっても、外国人客にとって魅力に写るのは「日本らしさ」が、
 一番だとあって、「もてなしの心」を形にしようと懸命です。

 見本となるのは、昔ながらの「旅館」のサービスです。
 帝国ホテルでは、そのサービスを見習い、チェックイン客を案内する際、
 日本茶を出し、折鶴や手書きのメッセージで出迎えしているそうです。

 宿泊だけでなく色々な形で、現在のようにホテルが利用されるように
 なったのは、この人が大きく係わっています。
 犬丸徹三氏は帝国ホテルの社長として、
 日本のホテルの原形を作ったともいえる人物です。

 犬丸氏は、現在の一橋大学を卒業しますが、就職難で勤め先が見つからず、
 満州のホテルに就職することになります。
 ボーイからはじめ、コック、金庫係、スチュワードを経験して、
 その後上海、ロンドン、アメリカと渡り歩きます。

 ロンドンのホテルで中国人に混じってコックをしていたときには、
 幹部社員としてきていた同窓生から、
 「一橋の名を汚すものだ。コックなんて面汚し」と、
 邪魔者呼ばわりされたこともありました。

 そんな生活も10年を過ぎようとして頃。
 ホテルマンとして実力をつけ、チーフコックとして一流の腕を
 持つようになった犬丸氏は、当時の帝国ホテル会長の目に留まり、
 副支配人として迎えられることになったのです。

 犬丸氏は、ホテルが国民の生活に入り込めるようよう、
 それまでにはない斬新なアイデアを生み出しました。

 いまではお馴染みのビッフェスタイルの食事は、
 帝国ホテルが日本で初めて取り入れて、
 レストランでの料理は一世を風靡することになります。

 レストランの集客に結びつくのではという思いから、
 テレビの料理番組で家庭向きの調理方法を紹介したり、
 料理本を出して西洋料理の普及を図りました。
 また、結婚式と披露宴をあわせた「ホテル結婚式」は犬丸氏が考案したもので、
 全国に広がっていきました。

 それまでは、外国来賓の接待のための特別な場所であったホテルから、
 大衆の身近な宿泊施設へホテルを変えていったのは、
 世界に通用する日本の「もてなしの心」を大切にし、
 徹底して行ってきたからなのです。

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