「おまけ」「際物」ぶれないニッチ作戦

 インターネットやスマートフォンの普及により、
 欲しい情報が手軽に手に入れることができるようになり、
 雑誌やコミックの売上が年を追うごとに落ちてきているそうです。

 ある調査へは、ピークだった97年に比べ40%以上落ち込んでいます。
 女性向けの雑誌では、ブランドパッグなど凝った付録を考え、
 「餌で釣る」方式で、どうにか人気を保てているのが現状です。

 そんな雑誌不況の中、オカルト雑誌「ムー」が400号を達成しました。
 UFOや超能力、心霊など、際物的な内容で読者の気持ちをつなぎとめ、
 紙媒体ならではの趣向で楽しませてくれています。
 もともとは、学研(学習研究社)の学習誌「高校コース」の記事、
 そこから発展したというのですから驚きです。

 現在では考えられないことですが、昭和20年代の学校の教科書といえば、
 薄っぺらで内容の乏しいものでした。
 当時の先生達は、そんな内容であっても一生懸命、
 教え子たちに理解してもらおうと、工夫を重ねていました。

 そんな悩みを解消してくれるのが「副読本」でした。
 先生達が、良い副読本を探していることに目をつけ、
 ビジネスに結びつけたのが学研の創業者 古岡秀人氏です。

 短いながらも教壇に立った経験が大いに役に立ちました。
 教育の現場で教師たちが欲しているものが、何であるかが良くわかったのです。
 その後は、戦争を挟んで職を転々と替えることとなります。

 戦前には、生命保険の外交員、小学館の編集者、
 兵役を免れるため、戦争中は戦争遂行協力会社である金属メーカー勤務、
 戦後はいわゆる闇屋で生計を立てたのです。

 闇市で儲けたお金を元手に始めたのが学習雑誌の出版です。
 小さい頃からの母の教え、教職の経験、編集者の仕事、
 いろいろなことが結び付いて出た答えでした。

 人脈は、全くの新参者が販売ルートを開拓するのに大いに役に立ちました。
 教師を辞めた人達を営業マンとして組織化して、
 それぞれの人脈を通じて、学校に回ってもらったのです。
 学研は、今や教育出版をはじめとして総合出版会社となっています。

 教科書の副読本という、大手の出版社から比べると負け犬に近い分野でしたが、
 少しずつ信用を高めていきました。
 その信用が足がかりになり、教育関係の出版に乗り出すことが出来たのです。
 このことは、新規事業を始める時にはとても役に立ちます。

 大手が手掛けている、中心的な分野でビジネスを続けていて、
 いっこうに成果があがらない場合。
 手を付けやすい分野で、既存の業者よりも上手く出来ることが無いか探すことです。
 狭い分野でもひとつずつ信用を築いていくことが、
 新参者がビジネスを有利に進める近道になります。

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