夕暮れ少し前、何処からともなく学生が集まり初め、
ワイワイと話し声が大きくなります。
小さい頃から通いなれた世代には、
すし屋でラーメンやパフェを食べることに対する違和感は全くないようです。
ランチから夕食までの閑散時間帯に、
隙間を埋めるかのように回転すしに集まってくる学生のグループ。
ファミリー客に次ぐ大切なお客である学生たちに、
大手チェーンも人気メニューの開発に躍起になっています。
一方、お父様方のニーズを取り込んで顧客獲得に乗り出しているのは、
ファミレスなどの外食チェーンです。
立ち飲みブームの影響もあり、どっしり腰を据えて呑むより、
近場で気軽に呑みたいという「ちょい呑み」需要の開拓を試みています。
牛丼チェーンの吉野家では、試験的に一部の店舗で「吉呑み」と称し、
夕方以降の時間帯に、ちょい呑みスペースを設けています。
通常のメニューに加えて、ハイボールや梅酒などのアルコール、
牛スジ煮込や刺身などのつまみを揃えています。
居酒屋チェーンの「お代わり如何」の問いかけ攻撃もなく、
気兼ねなく息抜きできるところが最大の利点。
加えて、立ち飲みと同料金なのに、
腰掛けて呑めるとあって人気は上々なようです。
長く続いていた牛丼の値下げ合戦も、やっと終わりそうな気配。
先頭を切って値下げ戦略を掲げていた、
すき家を展開するゼンショーが、人員問題もありついにギブアップ。
同社は、ファミリーレストラン、和食、中華など様々な外食を展開し、
総合外食チェーンを目指しています。
大小を問わず、外食チェーンのM&Aにも積極的で、
売上高は急成長を見せています。
反面、多額の投資のため財務体質は決して良いとは言える状況ではなく、
上場直前のベンチャー企業若しくは、
一般的な中小企業レベルであるといってもおかしくない状況であります。
吉野家は、過去に一度倒産を経験し復活してきた会社です、
無謀な投資に急激な事業拡大の怖さは身にしみてわかっています。
それゆえ、値下げ合戦には消極的でした。
現在の吉野家には、「キャッシュ」という強い見方をつけています。
経営が窮地に陥ったときに、
強みを発揮するのが「キャッシュ・フロー」なのです。
外食業は、売上のほとんどが現金商売、
元来は「キャッシュ」を貯めやすい業種です。
そんな利点も、経営拡大ばかりに目が向きすぎると、
思いがけない錯覚に陥ってしまいます。
売上が伸びているときには、支払までに手元に残るお金は、
比例してどんどん増えていくことになります。
しかし、ここで注意が必要です。
そのお金は、一時的に手元に残っているだけで、
時がくれば支払わないといけないお金なのです。
このお金を「儲け」と錯覚して、
新店の開業費や車の購入などに充ててしまうと、
売上の伸びがストップしたときに、
途端に資金繰りがショートすることになります。
上場を目指して、事業拡大を推し進める余り、
経営破たんしてしまう会社の多くは、このパターンなのです。