全国各地で次から次と生まれ続ける「ゆるキャラ」たち、
先の三連休では、ゆるキャラグランプリのフェスタが行われました。
なんと1700体ものキャラクターがエントリーしたというのですから、
ブームの勢いは衰えを知りません。
こちらの地元、京都府からも41体が参加していますが、
失礼ながら初めて聞く名前ばかりで、こんなにもあるのかとビックリです。
見事5位に入賞した、「チャチャ王国のおうじちゃま」は、
宇治市の名産お茶のイメージした(?)キャラの様ですが、
胸を張って自慢できる容姿ではなさそうです。
また、ブームの影響でキャラクターグッズの販売も馬鹿にはできず、
ご存知「くまもん」の関連グッズの売上は、
昨年は450億円に迫るというのですから、これまた驚きです。
ご当地キャラということで、ライセンス料は取っていないそうで、
なんと太っ腹なことでしょう。
一方、正統派(?)キャラクターの「ハローキティ」は、
誕生日を迎え、1日に見事40歳(?)のお祝いをしたそうです。
驚くのは、その人気の長寿もさもさることながら、
売上に対する利益の大きさなのです。
「ハローキティ」のキャラクターを保有するサンリオの業績は、
770億円の売上に対し営業利益は210億円と、
28%近くの利益率を誇ります。
次々と企業を買収し、成長し続けているセブン&アイHDは、
売上高は6兆円を超え国内屈指の大企業ぶりを存分に発揮しています。
ところが、不振が続くスーパー部門は売上高2兆円に対し、
営業利益は300億円と1.5%の利益しか出せない、
薄利多売の典型的な形をしておりサンリオとは対照的です。
サンリオは、辻新太郎氏が山梨県の特産品である絹製品に目をつけ、
会社を立ち上げたことに始まります。
もくろみは見事にはずれ借金だけが残ることになり、
資金繰りに困ったあげく、お金になりそうなものを売り歩く始末でした。
借金の返済も落ち着きかけた頃、海外から注文が増えつつあった
ビーチサンダルに目が止まります。
それまでのそっけないデザインではつまらないと思い、
花柄を付けてみたらどうかと試したところ、これが見事的中するのです。
また、ある業者の扱っている小物に付いているイチゴの絵が可愛かったので、
雑貨にイチゴのキャラクターを付けたところ大当たり!
勢いに乗り、イラストレーターや漫画家にデザインを依頼して、
これをキャラクターにする商品を販売することを手がけるようになります。
キャラクターを扱うビジネスを行う競争相手がいない時代、
業績は面白いように伸びていきます。
辻氏は、この商売もいずれ同業者が沢山でてくるに違いないと考え、
いち早くオリジナルのキャラクターを生み出すことに力を注ぎ始めます。
キャラクターにも、良い時もあれば悪いときもあります。
サンリオでは、そのようなことに備えて、
アイテムの見直しには余念がありません。
新しいアイテムを投入すれば、同じ数のアイテムを廃止します、
売れ筋を追求するのではなく、死に筋を排除する方法を採っています。
ここに、原価管理のコツが潜んでいます。
新しい商品を開発することによって売上を増加させるには、
開発に係る費用を含めた原価が増えるのに比例して、
売上が伸びていく必要があります。
しかし、新しい商品のすべてが、満足する売上をあげてくれるとは限らず、
売上が期待できない商品は、商品リストから削除することが必要になります。
この循環を繰り返すことによって、
闇雲に原価が増えていくことを防いでいるのです。