小さな市場だからこそ「戦わずして勝つ」

 10月に入り立て続けに大型規模、リクルート(HD)や、
 すかいらーくの上場がありました。
 株価の低迷と共に、長らく静まり返っていた株式市場が、
 ますます活気付いてきたようです。

 一方、規模では比べ物にはなりませんが、
 いい持ち味を持つ会社が公開を果たしています。
 その会社は、焼き鳥チェーンの「鳥貴族」と、
 たこ焼きチェーンの「築地銀だこ(ホットランド)」です。

 どちらも単品商品を売り物とし、特徴のある経営を行っています。
 鳥貴族は「しない」経営を掲げ、同業他社を意識することはせず、
 焼き鳥業界でのナンバーワンを目指しています。
 他業態には手を広げないこと、メニューの数も増やさないことを守り、
 美味くて安い、焼き鳥を提供することだけに知恵を絞っています。

 当初、スーパーの敷地内でたこ焼きのほか、
 焼きそばや大判焼きも扱っていたどこにでもある「こなもん屋」から、
 たこ焼き一本に専念したことにより、業績を伸ばしたのは築地銀だこです。

 事業拡大に伴い、主材料であるタコの品薄に見舞われました。
 そこでは、タコを食べないためタコ漁をしない国にまで出向き、
 獲り方をゼロから指導して世界中からタコの仕入を実現したのです。

 単品商品を扱う会社にとって、最も怖れることは、
 「安くて、良いもの」を提供するライバルが現れてくることです。
 お客の奪い合いによる、売上の減少もありますが、
 互いに値引き合戦による消耗戦で値崩れ、
 そして共倒れになることが、もっとも怖いことです。
 
 そのためには、その分野で優位に立つこと、
 出来ればナンバーワンになることが大切です。
 「戦わずして勝つ」
 競争相手が出てきても、面と向かって勝負させない。
 「戦っても、勝ち目が無い」と思わせることが必要なのです。
 
 ナンバーワンになれば、材料、仕入れなど大量購入による、
 スケールメリットが現れてきて、あわせて運送コストも下がってきます。
 地域や仕入先からの購入額のシェアがあがってくると、
 価格についても主導権を持つことが出来、
 色々な情報も入ってくることになります。
 
 そして、ナンバーワンの商品をもてるようになると、
 社員が自信をもてるようになり、会社のイメージが一新し、
 社員のマナーもアップするようになるのです。

 牛丼チェーンのナンバーワンである吉野家が米国産の牛肉にこだわるのか、
 理由は米国産を使わないと作れないからです。
 飼育方法や餌にまで注文を付けて、日本人の口に合うように改良し、
 なおかつそれだけ多くの肉を供給できるのは、今は米国しかないのです。
 
 一頭当たり10kgしか取れない部位を、牛丼を販売するとなると、
 年間350万頭分の肉が必要となるのです。
 「牛丼」でナンバーワンを走り続けるには、米国産を使うしかないのです。
 
 世界第一の牛肉の消費者マクドナルドに匹敵する輸入高を誇り、
 米、ワイン、醤油、たまねぎ、生姜なども、
 一社としては消費量トップである吉野家。
 ナンバーワンの強みを十分に生かすよう考え尽くされているからこそ、
 30年前の値段を維持することが出来ているのです。

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