子会社を上場させ事業拡大に息を荒くしている、
サントリーホールディングス(HD)が、
スポーツクラブ運営の子会社を売却すると発表がありました。
表向きには、飲料事業に集中するためとの事ですが、
シニア層に偏った会員構成に将来を見出せなかったサントリーHD側。
一方、テレビに慣れ親しんだ世代を「宝の山」と見る買い手と、
双方の思惑が合致したとの見方もあるようです。
80年代に入って、ド派手なファッションとともに上陸し、
瞬く間にブレイクしたエアロビクス(ダンス)。
海外の音楽番組でダンスを踊るビデオが、
繰り返し放映されたことも人気に拍車をかけました。
当時、企業の業績はうなぎのぼり、福利厚生に力を入れていたことも奏功し、
異業種からの参入や、子会社として運営されることとなります。
大手では、サントリーHDのテップネス以外にも、
総合スーパー(旧)ニチイのピープル(現コナミスポーツ&ライフ)や、
ルネサンスが誕生することとなります
しかし、景気の後退とともにフィットネスクラブも淘汰を向かえ、
大手が弱小を吸収するという再編が行われています。
30年が経過した現在、30分の軽いトレーニングを行う、
女性専門のフィットネスクラブも出現してきています。
ルネサンスは、現在の会長 斉藤敏一氏が企業内ベンチャーとして始めた会社です。
大日本インキ化学工業(現:DIC)に技術者として入社し、
スイスの大学に留学することになりますが、
そのときに身につけた生活スタイルが、創業のきっかけに結びつきます。
帰国後は、仕事中心の生活でなく、
テニスや落語などサークル活動にも熱中していきます。
その様な生活を模索している途中で、
自身の人間性の回復に目を向ける事の大切さを感じます。
そこで、余暇活動の事業化と称し、ウレタン樹脂の販売促進の目的という名目をつけ、
79年にインドア・テニススクールを開講したのです。
業界の中で歴史が古いクラブでは、テニススクールを始まりとするものと、
子供向けスイミングスクールを行っていたものに分かれます。
スイミングスクールを行っていた会社が、
次々とジムやスタジオを増設してフィットネスクラブに変化していくのを見て、
ルネサンスなどテニススクールを主体としていた会社は、
スイミング・プールとジム、スタジオを増設してフィットネスクラブとなったのです。
フィットネスクラブが登場した頃は、
企業が福利厚生を充実させるため作った、もしくはそれを狙って作られたこともあり、
会員は法人契約であることが多かったのです。
しかし、法人契約は景気の動向に左右されやすく、
契約の更新がされなかったときには、存続の危機に瀕するほど、
大打撃を被ることも少なくありません。
一方、個人については、法人の場合と比べ物にならないほど、
契約するまでに手間と時間がかかります。
加えて、サービスの内容にも気を配っていなければなりませんが、
景気等、本来以外の要因によって退会されることは少ないのです。
このように、新しく事業を始めるときには、
法人需要や団体顧客でお客を開拓したほうが、
手っ取り早く、安定した経営を手に入れることできます。
法人中心に事業が安定してくれば、顧客の開拓を個人需要に切り替え、
景気に影響されにくい基盤を作ることが重要になります。