コンビニに立ち寄ることが多い方は、既にお気づきだと思いますが、
通勤通学の時間帯やお昼休みに、
レジ横にあるサーバでコーヒーを淹れる人が次から次へと現れます。
コンビニ・コーヒーがヒットしていることは知っていましたが、
ここまで浸透しているとは思っていませんでした。
その影響は、コーヒー業界全体に広まっているそうで、
コーヒー豆の需要は増えていて生産が追いつかないほどだそうです。
また、サードウェーブという高級志向なコーヒーが、
注目されるようになって裾野が広まってきています。
一方、これまで男性のひとときの一服といえば、
タバコと缶コーヒーという組み合わせでしたが、
「淹れたて」に需要が流れ、缶コーヒーは厳しい状況に立たされています。
そして、この余波を受けているのが自動販売機事業です。
最近では、食品大手のネスレが缶コーヒー事業から撤退することを表明し、
日本たばこ産業(JT)も飲料事業から撤退することを表明しています。
わが国の治安が良いことで成り立っている自動販売機事業ですが、
その売上は馬鹿に出来ない規模で、
飲料メーカーは自社のシェアについて常に目を光らせています。
JTが保有する自動販売機についても、
大手飲料メーカーが触手を伸ばしているそうです。
現在のように街角のいたるところに、自動販売機が設置され、
その販売を支えているのが、硬貨、紙幣の認識技術です。
この技術に早くから取り組んだのが、立石電機(現 オムロン)です、
最初に開発を手がけたのは食券自動販売機でした。
百貨店が、私鉄の路線延長に備えて新駅に通じる地階に、
食堂コーナーを新設する計画がされたのです。
その食堂に、食券の自動販売機を導入する構想が持ちあがります。
3種類の硬貨を利用し、偽造を見分け、7種類の食券を販売するという、
当時としてはとても高い性能を要求され、開発陣も尻込みしたほどでしたが、
見事に完成させ、63年に7台の納入を果たせます。
自動制御装置にコンピュータを組み合わせた技術は、
次々と新しい製品に開花していきます。
渡米し現地のメーカーの依頼で、食券の自動販売機の技術を応用した、
クレジットカード用の自販機システムを開発することになります。
アメリカでは、食事をする前に前払いする習慣が無かったため、
いわゆる後払い形式のクレジットカード方式に切り替えての開発でした。
製品発表は大々的にマスコミに取り上げられ、
新聞やテレビで報道されましたが、一方販売は伸びませんでした。
しかし、その技術は無駄にされることなく、
銀行の窓口無人化システムにつながっていきます。
66年に金融会社から入った、紙幣自動貸出機の開発依頼を皮切りに、
銀行向けのCD(自動預金支払機)を手がけ、
ATM(自動現金引き出し、預け入れ装置)に引き継がれたのです。